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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「あぜ道のダンディ」 〜この親父、人としてどうでしょう?〜

公式サイト:http://bitters.co.jp/azemichi/音が出ます!

azemichi

監督・脚本:石井裕也
撮影:橋本清明
照明:鈴木大地
録音:加藤大和
美術:沖原正純
衣装:馬場恭子
ヘアメイク:宮本奈々
音楽:今村左悶、野村知秋
編集:相良直一郎
(2011年 日本)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
北関東に住む宮田(光石研)は浪人中の息子・俊也(森岡龍)と高校3年の娘・桃子(吉永淳)と
会話がかみ合わず、最近では体調も優れない。胃がんだった亡き妻と同じ症状に悩み、
友人の真田(田口トモロヲ)だけには悩みを打ち明けていた。
そんなある日、俊也と桃子が東京の私立大学に合格。子どもたちとの思い出を作りたい宮田だが、
なかなかうまくいかず…(シネマトゥデイより転記させていただきました)

去年、最も脳裏に焼きついた作品の中の一つ、「川の底からこんにちは」が記憶に新しい
石井裕也監督の作品でしたが、うーん。あまりにも主人公に共感しずらいというか、何というか。

一所懸命働き、真面目に生きている。それは良いんですけど、まぁ当たり前っちゃあ、当たり前。
この親父が最悪なのは、
1.人生が自分の思い通りにならないのを、時代や世の中のせいにする
2.コミュニケーション能力の欠如。感情表現ができないので、他人はもとより家族ともまともに話せない
3.飲んでクダをまき、あげくに立ちションをやらかす

だいたい、“ダンディ”という言葉をここまで履き違えているのも、可笑しさを通り越してあきれてしまいます。
ダンディ:洗練された服装・態度の男性。しゃれ者。(広辞苑より)
宮田に関しては“見栄っぱりで格好つけてるつもりやけど、実はナヨナヨした情けないヤツ”という点では、
いわゆる外見ばかり気にして中身がないヤツという意味で、本来使われる“ダンディ”と言えなくもない。

と、ここまで書いてちょっと私厳しすぎるかなぁと思ったりしますが、
にしても、会社の同僚(藤原竜也)に話しかけられて、あの態度はないよなぁ。
それに、高校生の子供を持ってて“プリクラ”という言葉を知らない50歳というのは、
ちょっとリアリティなさすぎかな。

それでも、俊也の父親に対する気持ちが「ちゃんと話したくても話せない」というモノだというのは
リアリティあるなぁと思います。宮田と俊也の会話から、二人の子供がちゃんと父親の気持ちを
汲み取っている事が明かされる訳ですが、あの父親で、よくもこんな良い子に二人とも成長したなぁと
言うのが正直な感想でしょうか。

そんな宮田にも友人の真田みたいな人がいて、ちょっとうらやましくもあります。
真田がちょっと宮田の子分みたいに扱われてる存在で、最初はちょっといやな感じもしたんですが。
二人が居酒屋でかわす会話が、全く噛み合ってなくて結構笑えました。
でも、そんな事一人でもできると思う事(例えば携帯ゲームプレイヤーを買いに行くとか)にも、
いちいち真田についてきてもらう宮田の心情は、全く理解できないんですね。
田口トモロヲさんの登場シーンが多い方が面白いので、良いんですけど。

全編にわたるユーモラスな雰囲気と、時折挟まれる笑いがあったから救われたかな。
そうそう、あのソフト帽はどう見ても真田の方がバッチリ似あってますよね。
それから、少しだけ登場した医師役の岩松了さん、あの独特の“間”だけで笑ってしまうのは何故でしょうね〜。

宮田のセリフに「地位もお金もないから、せめて格好つけたい」とあります。
私が思うに、地位もお金も必要ないけど、知性とユーモアを持ち続ける努力はしたいです。

テアトル梅田にて鑑賞。