ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

苺とチョコレート

苺とチョコレート [DVD]苺とチョコレート [DVD]
(2001/09/28)
ホルヘ・ぺルゴリアウラディーミル・クルス

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監督:トマス・グティエレス・アレア 共同監督:ファン・カルロス・タビオ
(1993 キューバ・メキシコ・スペイン)
原題:FRESA CHOCOLATE

【ストーリー】
自由と芸術を愛する同性愛者のディエゴ(ホルヘ・ペルゴリア)と
祖国を愛する生真面目な大学生ダビド(ウラジミール・クルス)。
生き方も考え方も全く異なる二人が、偶然アイスクリーム・パーラーで出会う。
最初は嫌悪感を抱くダビドだったが、独自のスタイルを持つディエゴの生き方に次第に魅かれていく。
しかし、周りの偏見からディエゴは苦しい立場に追いつめられ…。
青年2人の友情を通して社会の矛盾を描く感動作。(キューバ映画祭HPより転記させていただきました)

今回のキューバ映画祭で唯一観る事ができたのはこれ。
有名な作品ですが、私は初めてみるので楽しみにしてました。

ディエゴ役のホルヘ・ペルゴリアさんが、すごくチャーミング!

ディエゴの部屋には、優雅な音楽と本の数々、おいしいお茶と会話。
まるで、文化的サロンのような存在。
外国産のウイスキーや雑誌があり、ゲバラやカストロの写真ではなく
祖国の偉大な芸術家達の写真が貼られている。素敵〜。

教養があって芸術に深い造詣をもつ自由主義のディエゴと、いかにも青臭くて視野の狭い共産主義のダビド。
ゲイに対する偏見と政治的思想の対立がそこにはあるんですが、徐々に訪れるダビトの心の変化が
ナチュラルに伝わってきます。彼の実直な部分が繊細で暖かいタッチで描かれているからでしょうか。

印象的だったのはディエゴが何回か口にしていた「芸術と政治は全く別のものよ」というセリフ。
単純な言葉ですが、まさに真理やなぁと思います。
逆にダビトがディエゴを指して言うセリフは「反革命的だ」。若いねっ兄さん。
自分の経験からではなく思い込みから発せられる言葉には重みがない〜。でも彼の素直さは貴重ですね。

そういえば、同じく革命青年である親友ミゲルが、わかりやすい小悪党キャラで笑えた〜。

ディエゴとダビトの間に途中から関わるのが、ナンシーという女性なんですが、
この人物が面白くて可愛くてほほえましい。この三人の距離感も絶妙でした。
最後には感動させられちゃって。人間賛歌でしたね、この映画。

監督の一人フアン・カルロス・タビオさんやキャスト陣も重なる
「バスを待ちながら」(2000年)が、がぜん観たくなった。

第七藝術劇場にて鑑賞。