ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

潜水服は蝶の夢を見る

監督:ジュリアン・シュナーベル
(2007年 フランス/アメリカ)
原題:LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON

【物語のはじまり】
ファッション誌「エル」の編集長ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は
ある日、脳梗塞で意識を失う。海辺の病院で意識を回復した彼は、
左目のまぶた以外を動かすことができなくなっていた。
20万回のまばたきでつづった自伝小説を出版した男性の実話を映画化。

昨日は仕事帰りに、予告編で詩的なタイトルに惹かれたこの映画を観に走りました。
結構話題になっている気配なのにもかかわらず、人が少なくてちょっと拍子抜け。

始まり、主人公が目覚めるとうすぼんやりとした世界。
やがて視界ははっきりとするが、しゃべる事や頭を動かす事さえできない。
最初から主人公の目線での映像だったので、観ているこっち側に実感させるというか、
説得力がありました。まさに想像するだけで息苦しい世界。潜水服かなるほどー、と
妙に感心。意志を伝えることさえできないなんて、なんてもどかしいんだろう。
考えただけで絶望的な気持ちになってしまう。
客観的な様でそうでもないこの気持ちがとても不思議。

恋人(イネスやったっけ?)の言葉をセリーヌがジャン=ドーに伝えるシーンは
とても苦い気持ちになりました。
あんな自分勝手な事言ってるヤツに対して言う内容かなぁー?と
ちょっと理解できなかったのが、正直なところ。
「愛」よりも「情熱」や「恋」を重んじてる感じがしてしまった。
男と女の愛情って謎ですなぁ。

家族の協力と愛情によって主人公が立ち直るみたいな
(それでも素晴らしい作品もありますが)、紋切り型の作品ではないんですね。

それにしても、この映画には魅力的な女性が沢山登場します。
ジャン=ドーのお気に入り、マリーはカトリーヌ・フロを意地悪くした様な感じで
あまり好きになれなかったけど(宗教がらみっていうのも怪しい)。
ジョセフィーヌには、あんなヤツいるーっ!って感じで苦笑。(^-^;A

タイトルと同じく詩的な映像が素敵。想像力と記憶によって、
潜水服から蝶へと変身して羽ばたき飛び回るシーンがとても美しい。
そして“自由”というものを体感する事ができた様な気がした。

余談ですがヤフーに掲載されていた写真、監督のファッションセンスが
あまりにも。。。(笑)著名な芸術家にも結構そういう人を見かけますよねー。
その辺のセンスと映像美等は全く関係ないというのも面白い。

大好きな淀川長治さんが誉めてらした同監督の「バスキア」も是非見なくては!

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。

原作↓

潜水服は蝶の夢を見る潜水服は蝶の夢を見る
(1998/03/05)
ジャン=ドミニック ボービー

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