ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「シュヴァルの理想宮」〜なぜかノスタルジィ〜

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公式サイト:https://cheval-movie.com/

監督:ニルス・タベルニエ
脚本:ファニー・デマール、ニルス・タベルニエ、ロラン・ベルトーニ
製作: アレクサンドラ・フェシュネル、フランク・ミルサン
2018年製作/105分/フランス
原題:L'Incroyable histoire du Facteur Cheval

※ネタバレを含みます

【物 語】
19世紀末、フランス南東部の村オートリ―ヴ。日々、村から村へと手紙を配り歩く郵便配達員シュヴァルは、新しい配達先で未亡人フィロメーヌと運命の出会いを果たす。結婚したふたりの間には娘が誕生したが、寡黙で人付き合いの苦手な彼は、その幼い生命とどう接したらいいのか戸惑っていた。
(公式サイトより転記させていただきました)


想いを形にする、その最たるものを見た気がした。


行ったことのない場所、生きたことのない時代なのに、強い郷愁を感じる。
ここで描かれたような時間、消えゆくものをとどめたい気持ちが湧き上がってくる映画。

南フランスの青い空、白い雲、遠くに臨む山々を目にし、鳥の声や水音を耳にしながら、手紙を配り歩く郵便配達員。
そんな仕事に強く憧れる。

いや、しかし歩いた距離は1日32kmだから、めちゃくちゃ大変。
雨や嵐の日もあっただろうし、体調の優れない時もあるし。
わかっているけど、この環境がシュヴァルの感性を刺激した事も間違いないと思う。


対人関係やコミュニケーションを取ることが苦手で、興味のある事に対するこだわりがすごい、いわゆる自閉症スペクトラム障害なのかなと思わせる主人公のシュヴァル。
だからこその徹底した物作りに対する姿勢は、見ていて感動する。

ほとんど話さない彼だが、その表情が感情を雄弁に語る。
最初の妻を亡くした時、子供との別れ、新しい命にとまどう姿など、ジャック・ガンブランの演技が素晴らしい。


彼が自分の情熱を殺さずに生きられたのも、周りの人々の温かい目があったからだと思う。

二番目の妻はもちろん(レティシア・カスタいいねー)、息子や、郵便局の上司(こういう上司に恵まれるって最高!)など。
また、彼に偏見を抱いていた女性の存在も、ある意味印象的だった。

人と違ってるシュヴァルを肯定してくれる人々によって、彼の人生は彼にとって意義あるものになったのだと感じる。


そして、この時代だからこそ人々と「死」の距離が近かった。
色々と辛い出来事も起こるけれど、シュヴァルの人生は美しく、充実していたんじゃないかなぁ。


実際の「郵便配達員シュヴァルの理想宮_の公式サイト:http://www.facteurcheval.com/en/index.html

 

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞