ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生」 〜年を重ねて出せる味〜

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公式サイト:http://advancedstyle-movie.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・撮影:リナ・プリオプリテ
製作:アリ・セス・コーエン
編集:マイケル・カーター
音楽:ケリー・スカー
(2014年 アメリカ制作 72分)
原題:ADVANCED STYLE

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
2008年に始まったアリ・セス・コーエンのブログが取り上げるのは、NYの街角を闊歩する60代以上のファッショナブルな女性達だ。
そんなブログ「Advanced Style」に登場する女性たちに密着したドキュメンタリー。

「自分が好きな服を着ればいい」
これって、簡単なようでなかなか難しい。
まず、自分がどんな服が好きなのかわからない場合がある
次に、好きな服が回りからどう判断されるかわからない場合がある
そして、仕事など置かれている環境によっては好きな服が着られない場合がある

こんなごちゃごちゃした事を超越しているのが、この映画に登場する女性達です。
「服に着られている」なんて事は全くなく、自分のスタイルを確立していて、客観的に見てもお洒落なんだからカッコいい事この上ない。

「奉納」という文字が入ったガウンを着て、自転車でさっそうと街を駆け抜けるジポラ 62歳
コンサバで上品な着こなし、パールのロングネックレスが印象的なジョイス 80歳
ブティック経営のマダム、肝っ玉母さん風のリン 79歳
アバンギャルドな装いがクリエイティブなデブラ 67歳
燃えるような赤毛と、その髪の毛を使ったつけまつげがトレードマークのイロナ 93歳
元ダンサー、すっと立つ姿勢が美しいジャッキー 81歳
アフリカの手織りの布を仕立てた服&帽子がお気に入りのゼルダ 95歳

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それぞれの人生経験からにじみ出たような個性があって、見ていてすごく面白いですね〜。

10代の頃オペラの勉強でミラノに滞在したジョイスは、やはりその影響が大きいのか、シックでエレガントな大人スタイルがとても素敵。
ある程度の年齢を重ねた大人でないと着こなせないファッションですが、日本人のご婦人でも比較的真似しやすいんじゃないかと思います。
ただし、靴と爪をいつも奇麗にするのは大前提です。
そして、持ち物を大切に手入れするという事も。
バッグをいつも磨いているというジョイスの言葉に、ハッとさせられました。

私も靴は磨いても、バッグを拭いたりはめったにしてないから反省!
ひどい時は、ボタンがとれたまま服着たりしてますからね。我ながら、いけてないわー。

ジポラはパリ、デブラはロンドン、それぞれのストリートで撮られたスナップと言われても納得するようなファッションです。
この二人は体型もスリムで、メンバーの中では若い60代、そして気持ちが10代のままのような少女っぽいコメントも特徴的でした。
個人的に一番興味を持ったのは彼女達のファッションです。
年を重ねた事により出る「貫禄」みたいなモノがミックスされた他のメンバーのファッションに対して、彼女らのファッションは若い方でも着こなせそうな感じなんですよね。
若いと、多少の頑張ってる感は出てしまうかもしれませんが。

一番キュートだな〜と思ったのは、イロナです。
彼女のファッションがというよりは、その個性が素敵
あの、つけまつげ! そして、あの笑顔
絵を描き教える、自分が好きな事をライフスタイルの中心に置いているからこそ、イキイキとしているんでしょうね。
あ〜、可愛いばあちゃんだぁ

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ファッション業界が2年前から決めると言われる色の流行に始まり、コントロールされるトレンド。
そんな世界とは一線を画す感じが、見ていて気持ち良いんだと思います。
だから、後半の業界と彼女達の絡みには少々複雑な気持ち。
「ファッションが教えてくれること 」(2009年)なんかとは、対極にある世界の方が魅力的なのにと、チラッと思ってしまいました。

大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞

 

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