公式サイト:http://www.bitters.co.jp/sandra/
※音声が出ますのでご注意ください
監督・脚本・制作:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
(2014年 ベルギー/フランス/イタリア制作 95分)
原題:DEUX JOURS, UNE NUIT
※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください
【ストーリー】
体調不良から休職をしていたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、上司から解雇を言い渡されたサンドラ(マリオン・コティヤール)
解雇を免れる方法は、16人の同僚のうち過半数が自らのボーナスを諦めること。
ボーナスをとるか、サンドラをとるか、月曜日の投票に向け、サンドラは家族に支えられながら、週末の二日間、同僚たちを説得に回る。
(公式サイトより転記させていただきました)
同監督作品「ロゼッタ」(1999年)は、悲惨な家庭環境の少女が仕事を解雇され必死でその環境と闘うという物語でした。
今回は、愛すべき夫と子供を持つ主婦サンドラが主役。
仕事を解雇される事はシリアスな問題ですが、犯罪がらみでもなく、これまでのダルデンヌ作品に比べかなりフツーな設定です。
仕事に復帰するには、同僚達にボーナスを諦めて自分に味方して欲しいと頼まなければならないサンドラ。
相手にとって愉快じゃない話を持ちかけ交渉するのは、想像するだけでもしんどいですよね。
日本人が不得意とするのがこの「交渉」という行為じゃないでしょうか。
日本の外交のふがいなさを見ると、そんな気がします。
まぁ、内容を見るとサンドラも対した交渉はしてないのですが(笑)
ちゃんと話し合わないと、相手がどう考えているのか本当の所もわからないですよね。
誤解が生じている場合などは、意外な真実を発見する事もあるかもしれません。
私なんて自分で相手の気持ちを勝手に想像してしまうタイプなので、あかんなぁ〜と思うことも多々あります。
この映画のキモは、サンドラが仕事に復帰できるか否ではなく、彼女自身の心の再生なのでしょう。
全快したとはいえ、すぐに薬に頼ってしまう彼女は、自分自身の価値に大きな疑問を感じていて不安定な精神状態です。見ていてハラハラします。
ラスト、「できる限りの事はした」という思いが、自分自身への自身につながった、そんなサンドラの様子を見ると素直に「うん、うん、良かったね」と思えるのです。
マリオン・コティヤールの演技から、サンドラの繊細さと揺れる気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
何かにつけ彼女を励まし、支える夫マニュ(ファブリツィオ・ロンジォーネ)は、本当に良い旦那様だ!
たとえ仕事がなくても、こんな家族がいるという幸せは何ものにも代え難いと思います。
サンドラの同僚達を見ると、ベルギーもフランス同様に多民族社会なんだな〜と実感します。
大好きなマリオンが見られるという事以外、正直かなり地味な映画です。
個人的にはこの地味さが好みですが、一般受けはしないかもですね。
テアトル梅田 にて鑑賞