ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ビッグ・アイズ」演者がイイ!

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公式サイト:http://bigeyes.gaga.ne.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督: ティム・バートン
脚本: スコット・アレクサンダー / ラリー・カラゼウスキー
美術: リック・ハインリクス
撮影: ブリュノ・デルボネル
音楽: ダニー・エルフマン
衣装: コリーン・アトウッド
編集: JC・ボンド
(2014年 アメリカ制作 106分)
原題:BIG EYES

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
60年代アメリカで一大ブームを巻き起こした、絵画「BIG EYES」シリーズ。
作者のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は一躍アート界で有名人になる。
しかしその絵画の本当の作者は。内気な性格の彼の妻マーガレット(エイミー・アダムス)だったのだ。

すごくまっとうな映画なので、「ティム・バートンの不思議な世界」みたいなモノを期待して見にいくと、拍子抜けします。

女性が家庭の内に入るのが当たり前とされていた時代。
マーガレットは横暴な夫から逃げ出し、サンフランシスコで娘と共に新生活を始めます。
やがて、そこで出会った自称画家のウォルターと再婚しますが、彼はとんでもない策士だったというお話。

ウォルター・キーンは、他人の作品を自分のモノだと語り富と名声を手にいれようとする、そんなとんでもないヤツなんですが、何故彼は人を惹き付けるのか?
マーガレットも丸め込まれてましたが、なんでなのかな〜?と考えてみました。

1「自分の事(価値)を認めてくれる、優しい存在」と相手に思わせる。
マーガレットの絵を見て「これはいける」と思ったのかどうかはわかりませんが、とにかく最初から彼女の才能を褒めていたウォルター。
彼女の事をお姫様扱いしたり、自分が大事にされているという印象を相手に植え付けています。

2「内面に悲しさを抱えながらも頑張っている姿」を相手に見せて同情させる。
画家になりたかったが実は不動産業を営んでいると告白して、悲しそうなフリをしていますが、実はそれもウソ。
ここでは「不動産業でかなり成功している」と経済面でのアピールも忘れてません。

あと、「外では人あたりが良く、家庭内では妻に暴言を吐く」
「嘘を平気でつくが、良心の呵責を感じていない」
「責任転嫁する」などなど、彼の行動は家庭内モラルハラスメントの典型パターンなのがわかります。

マーガレットにももちろん、責任はあります。
元夫に子供の親権を取られそうになった事や、ウォルーターが稼いでくるお金で生活が安定する事なんかも、結婚の動機になっているようですから。

また、マーガレットの絵はもしかしたら、ウォルターの手腕なしには世に出なかったかもしれません。
けれど、妻の「絵」を自分の作品として売る、この点に関しては明らかに許されない事なわけで。
ウォルターの、人を利用して儲けてやろうという意図がビシバシ感じられます。
マーガレットが作家として名乗れなかったのは、彼から吹き込まれた(訴訟になる云々)話などで精神的に支配されていた為なのでしょう。

高い値段の原画でなはく、チラシやポスターを印刷して安価で売り出す方法は、完全に金儲けが目的の人の発想じゃないですか〜

ある日、ウォルターの秘密をマーガレットは知ってしまいます。
ネタバレすぎるので秘密の内容は伏せますが、ここら辺からとユニセフの絵がボツになったあたりから、ちょっとホラー色が出てきましたよ。怖いわー

そんなウォルターの元から無事ハワイへと逃げ出したマーガレットは、ついに絵の作者が自分だという事実をラジオで告白します。
ハワイでの裁判のシーンは、クリストフ・ヴァルツの独壇場です。そして思い切りコメディです。

本当の作者がどちらなのか、やっぱり(笑)あの方法で裁判の勝敗が決まります。
ここで正義が下されるのは溜飲が下がる思いですが、厚顔無恥もここまで来るとすごい!とウォルターに妙に感心してしまうのは、ヴァルツの演技のせいもあるかも。

そして、大好きなエイミー・アダムス
「アメリカン・ハッスル」での演技が良かったのでそれと比べるとインパクトにかけてしまいますが、彼女らしい“夫の支配を吹っ切った女性”像をつくりあげてました。
しかし、そのきっかけがあの新興宗教というのがなんだかなぁ。

実際のマーガレットさんは、現在も毎日のように絵を描く生活をしてらっしゃるようで、そう聞くとホッとします。
年を重ねても、本当に好きな事が続けられる人生は良いですね。

ティム・バートン自身がこの“ビッグ・アイズ”シリーズが好きで強い影響を受けたという事も、(この映画)制作の原動力になってるんでしょうね。
「監督はティム・バートンです」って言われても、へぇ〜そうなの?!って感じで、らしさはほとんど感じられない映画でしたが、それはそれでイイのかなと。

私個人はこの絵に思い入れはないのですが、このシリーズから影響を受けたと思われるようなプライスの人形は可愛いと思います。
でも、けっこうなお値段するのよね。。。

ネオブライス ショップ限定ドール ゼノッチカ

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TOHOシネマズ梅田 にて鑑賞。