ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」〜グザヴィエって良いヤツ〜

f:id:YURURI:20141226221041j:plain

公式サイト:http://nyparisian.ayapro.ne.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
製作:ブリュノ・レヴィ
制作進行:ラファエル・ベノリエル
撮影:ナターシャ・ブライエ
美術:ロシェル・バーリナー / マリー・シェミナル
衣装:アン・ショット
(2013年 フランス/アメリカ/ベルギー制作 117分)
原題:CHINESE PUZZLE
    
※ネタバレを含みます。

【ストーリー】
今や2児の父となり、腰を落ち着けたかに見える、40歳になったグザヴィエ(ロマン・デュリス)。
小説家としてもそこそこ人気を得て、そのまま順風満帆な人生を送るはずが。。。
青天の霹靂、またも大ピンチに見舞われる。
 (公式サイトより転記させていただきました)

クラピッシュ監督の人気シリーズ、最新作

とはいえ、シリーズの前作「ロシアン・ドールズ」(2005年)は粗筋すら覚えてない。。。
正直、それほど記憶に残らない映画だったのかも。
その前の「スパニッシュ・アパートメント」(2001年)は良かったですね〜。
「ザ・青春」て感じで。

映画のコピーやレビューで「ダメ男」の烙印を押されている主人公グザヴィエですが、私としてはそうとは思えないんですよね。
確かにちょっと女性にだらしないかもしれませんが、少なくとも今作での彼はその傾向はなかったし。

軽薄かなぁ〜と思う行動があるにはあるのですが、ラテン系のノリと解釈すれば許せない範囲でもないし。
個人的にロマン・デュリスのルックスが全く好みじゃないから、イザベル(セシル・ドゥ・フランス)と同じく友人目線で見ているせいもあるかも。

今回、彼の行動力には目を見張るものがありました。
それが、自分の子供達の側に居続ける為というのがまた、好感度高いのです。
かつて父親との間には築けなかった関係性を、自分の子供達とはちゃんと築きたいという意気込みが感じられます。
「何も起きない瞬間も人生の一部だから」この言葉、なんだか染みる。

作中、ヘーゲルショーペンハウエルといった18〜19世紀のドイツ人哲学者が登場します。
あっ、登場したのはショーペンハウエルだけだったかな?
グザヴィエの心情を説明するのに「モリエール 恋こそ喜劇」(2007年)ばりのコスチュームに彼が変身するショットがあったり。
こういう遊び心も楽しいのです。

逆にダメダメやん!と思ったのは、イザベルです。
精子提供者に友達を選ぶというのは、起きなくてよい問題の原因を作るようなものじゃないかなと。
ふとした時にグザヴィエに父親の役割を求める発言があったりして、案外これが本音では?と感じます。
深く考えないグザヴィエも悪いけどね〜。
それと、パートナーに対して誠実じゃないのはやっぱりダメ!ですよ、うん。

f:id:YURURI:20141226221042j:plain

女性達に囲まれ、タジタジのグザヴィエ

そんな女性達に振り回されながらも、けっこう逞しく生きているグザヴィエの人生って、彼が思うほど悪くないやん! とちょっと元気をもらえます。

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。

※1 G.W.F.ヘーゲル 主著は「精神現象学
※2 アルトゥル・ショーペンハウアー 主著は「意志と表象としての世界」