ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「6才のボクが、大人になるまで」 〜家族の一員になる〜

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公式サイト:http://6sainoboku.jp/

監督・脚本:リチャード・リンクレイター
製作:キャスリーン・サザーランド
製作総指揮:ジョナサン・セリング / ジョン・スロス
撮影監督:リー・ダニエル / シェーン・ケリー
編集:サンドラ・エイデアー
プロダクションデザイン:ロドニー・ベッカー
衣装デザイン:カリ・パーキンス
音楽:ランドール・ポスター  
(2014年 アメリカ制作 165分)
原題:BOYHOOD

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ポイント】
リチャード・リンクレイター監督に、ベルリン国際映画祭で
二度目の監督賞(銀熊賞)をもたらしたこの映画は、
6才の少年とその家族の変遷の物語を、同じ主要キャストで
12年間に渡り撮り続けた画期的なドラマです。

【ストーリー】
僕はメイソン(エラー・コルトレーン)。
ママのオリヴィア(パトリシア・アークエット)と
姉さんのサマンサ(ローレライ・リンクレイター)と一緒に
テキサス州で暮らしている。
ママがおばあちゃんのいるヒューストンへ引っ越すと
言い出したのは、僕が6才のときだった。
(公式サイトより転記させていただきました)

コールドプレイの曲で始まった瞬間から、
この映画に対する信頼感みたいなものが芽生えた、
そんな感覚がちょっと不思議でした。
リンクレイター監督の音楽の使い方
そのセンスは私好みでとても心地よいというのが
脳にインプットされてるからかも。
収録されている曲は、撮影が行われた2000年から
2013年の間を代表する曲(らしい)
サントラ欲しいなぁ〜。

Boyhood

Boyhood

 

演じる俳優達が重ねた歳月を、そのまま映像として
活かす手法には、それなりの大きな効果があると思います。
物語にリアリティが出るという事、見る側が
時の流れを事実として受け入れやすいのだと思います。

そして、登場人物に対して親近感を感じ(特に子供達には)
感情移入しやすいと思います。
「いとしきエブリデイ」(2012年)は5年の歳月を
かけて撮られた映画でしたが、子供達の成長を
目の当たりにして、私はすっかり
親戚のおばちゃんの心境
なってましたからね。

この作品は、「いとしきエブリデイ」ほどの
心揺さぶられ感はなかったのですが、
とても好きな映画だと言えます。

頑張り屋のママ・オリヴィアを演じるのは
パトリシア・アークエット。彼女の出演作品は
「エド・ウッド」(1994年)以来かも。
年を重ねるにつれ、腰回りがどっしりしていく様に
注目してしまいました(笑)でも良い女優さんだ!
オリヴィアは、人間的にも素晴しいママだけど
夫を選ぶ基準が。。。欠点があるのが人間ですね。

そんなこんなで、ゴタゴタもありつつメイソンは
無事成長していきます。パパと過ごすキャンプの
シーンはとても素敵です。ここだけ切り取ると
幸せな家族の典型みたいですが、なかなかそうもいかない。
たとえそれがずっと続かなくても、親子の笑える時間を
持てた事は、幸せなんじゃないかなぁと思います。

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ラストで迎える時、“僕”は18歳。この時点では人生まだまだこれから。
それでも、子供時代の12年は大人のソレよりもずっと密度が濃い。
そこが、この映画の見応えにも繫がっているのかも。

165分という上映時間を感じさせないのはすごいし、
全体的に心地よい映画なんですが、
もう一回見て確認したい気分にさせられるのは、
少し印象が散けたせいもあると思います。

個人的には主人公メイソンや姉のサマンサよりも
やはりオリヴィアに心寄り添わせてしまうから、
彼女の心情が感じられる部分が、もう少し多いと
よかったかなぁ。子供達が巣立ってしまう際の、
あのやりきれない気持ちはわかる気がしました。

ところで、パパの友人ジミー役でミュージシャンの
チャーリー・セクストンが出演していますが、
年を重ねて渋い感じが出てきてて、若い時よりも
ずっと格好良くなってはりました ♪
イケメンが出てる映画じゃなきゃヤダ!という人は
彼を目当てに見に行ってください(笑)

それにしても、イーサン・ホークは老けないなぁ。

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞