ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「イーダ」 〜スクリーンサイズも重要〜

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公式サイト:http://mermaidfilms.co.jp/ida/

監督・脚本: パヴェウ・パヴリコフスキ
(2013年 ポーランド/デンマーク制作 80分)
原題:IDA

※ネタバレを含みます。結末に触れていますのでご注意ください

【ストーリー】
60年代初頭のポーランド。孤児として修道院で育てられた
少女アンナ(アガタ・チュシェブホフスカ)は、
ある日院長からおば(アガタ・クレシャ)の存在を知らされる。
 (公式サイトより転記させていただきました)

雪の中の修道院、静謐で澄み切ったような空気感が、
モノクロ映像からヒシヒシと伝わってきます。
スタンダードサイズのスクリーンという事もあって、
舞台となる1960年代にタイムスリップしたような
感覚に陥ります。

修道院で育った孤児が人生の節目に、これまで
知らなかった自分の身内を訪ねる。。。という展開で、
頭に浮かんだのは「アヴリルの恋」(2006年フランス制作)
↑この映画は、南フランスの明るい陽光の中、自由を体感する
主人公の様子が、晴れ晴れとした気持ちにさせる明るい映画です。

今作はソレとは対照的です。
共産主義政権における抑圧や、戦時中のホロコーストなど
根深く暗い問題が、ストーリーの重要な部分に絡んできます。
しかし、それらの問題を掘り下げている訳ではなく、
むしろ物語は淡々と進んでいきます。この辺りが
リアリティを感じさせるのかもしれません。

モノクロの映像ですから、光と影のコントラストが
より鮮明になり、主人公イーダの顔が常に明るい
光の下にさらされているような演出が印象的です。

ラスト、吹っ切れたようなイーダの表情から、
彼女の揺るがない心の内が少し見えたような気がして、
こちらの気持ちも穏やかになりあす。
「アブリルの恋」とは異なるタッチですが、
どちらの女優さんも、瑞々しさに溢れていました。
後味の悪くない映画という点でも、好印象です。
ただ、ラストシーンは手持ちカメラの揺れで
ちょっと酔いそうになります(汗)

ここのところ、音楽が効果的に使われている映画との
出逢いが多くて嬉しい。
ジョン・コルトレーンのバラード“Naima”を
改めて今、聞いています。


John Coltrane - Naima - YouTube


テアトル梅田 にて鑑賞。