ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」もう一度見たくなる味わい

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公式サイト:http://www.insidellewyndavis.jp/

監督・脚本・製作:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
製作:スコット・ルーディン
撮影:ブリュノ・デルボネル
美術:ジェス・ゴンコール
衣装:メアリー・ゾフレス
エグゼクティブ音楽プロデューサー:T・ボーン・バーネット
共同音楽プロデューサー:マーカス・マムフォード
製作総指揮:ロバート・グラフ
(2013年 アメリカ制作 104分)
原題:INSIDE LLEWYN DAVIS

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
ボブ・ディランが憧れた伝説のフォーク・シンガー、
デイヴ・ヴァン・ロンクの回想録をベースに
コーエン兄弟が脚色した映画。
物語の舞台は1961年、NYのグリニッジ・ヴィレッジ。
ライブハウスで歌うフォーク・シンガーの
ルーウェン・デイヴィス(オスカー・アイザック)は、
最近何をやっても裏目に出てばかりだった。

コーエン兄弟の持つユーモア感覚が好き。そんな人向き。
にしても、タイトル長いっ。サブタイトル(名もなき
ナンチャラ)は要らないんじゃない?

音楽が良くて、映像にも物語にも登場人物にも
とぼけた味わいがあって、「オー・ブラザー! 」(2000年)が
好きな人なら、きっとツボにはまる映画じゃないでしょうか。
もっと地味なんですけど。
あ、それと猫好きな人は間違いなくヤラれます

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売れないフォークシンガーの、なんとも不運(とはいえ、
自業自得)でやりきれない物語。とりたててコレっちゅー
華やかな事も起こらず(むしろ起きたらビックリしますね)
最後まで「やれやれ」な展開。でも心地良いんです。

フォークソングに興味がなくても、この時代の空気感
たっぷりの、味のある音楽にはやはり惹き付けられます。
出演者達の確かな実力に裏付けられた、安定感も良し!

ルーウェン役のオスカー・アイザックも上手いし、
ジャスティン・ティンバーレイク扮するジム・バーキーが
スタジオで歌った“PLEASE MR. KENNEDY”も
ユニークだったし、この時一緒にプレイしてた
アダム・ドライバー(アル・コーディ役)も
オスカー・アイザックと同じく名門ジュリアード出身だと
言うことで、芸達者な人達が集まるとやっぱり楽しい ♪

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主人公ルーウェンは友人の家を渡り歩き、いろんな面で
ルーズ、見ていてイラッとさせられるダメ男なんですが、
ジーン・バーキー(キャリー・マリガン)が、彼に対し
散々悪態ついてくれるおかげで、かなりスッキリします。
キャリー、ありがとう!

ライブハウスのオーナーに「金の匂いがしない」音楽だと
言われたルーウェンですが、
こだわりがあるようでなかったり(笑)、
ロイ・ネルソン(スターク・サンズ )が
認められたと知りちょっと嫉妬してみたりと、
この煩悩に惑わされている感じが良いのですよ。

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トロイは実に礼儀正しい青年


ジャズ・ミュージシャン、ローランド(ジョン・グッドマン)と
付き人のジョニー・ファイヴ(ギャレット・ヘドランド
(→「オン・ザ・ロード」のビートニク野郎ですね)との
ヘンテコリンな道行きも、コーエン作品らしくて楽しいし。

最後に、あの奇麗な茶トラ猫の名前、やっぱりオデュッセイア
翻案した物語「オー・ブラザー! 」との繫がりを感じさせます。

この映画で実力を発揮していたジャスティン・ティンバーレイク
若いときから小物感が漂っている(笑)感じがしたのですが、
押しが強くない人の良さげな役がはまってました。線が細い
こういう路線が良いですね〜、私が言うまでもありませんが。

ジャスティンといえば、この5月に発売されたMJの
未発表曲集アルバム“XSCAPE”のデラックスver.に
収録されていた“Love Never Felt So Good”
そのミュージックビデオは
MJへのリスペクトの気持ちがあふれてたな〜


大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞