ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「グロリアの青春」 〜いくつになっても青春〜

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公式サイト:http://gloria-movie.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本・製作・編集:セバスティアン・レリオ
製作:フアン・デ・ディオス・ラライン / パブロ・ラライン
脚本・製作:ゴンサロ・マサ
撮影:ベンハミン・エチャサレータ
(2013年 スペイン/チリ製作 109分)
原題:GLORIA

※ネタバレ含みます! 結末に触れていますのでご注意ください

【ストーリー】
チリの首都、サンティアゴ。58歳になるグロリア(パウリーナ・ガルシア)は、
独身生活を謳歌していた。夫とは10年以上前に離婚、息子も娘も立派に成長し、
それぞれ独立した生活を持っていたし、自分自身も職を持ち、
会社で責任ある仕事を任せられて充実していた。
 (公式サイトより転記させていただきました)

外野は関係ない、自分が納得するように生きていきたい!
と思わせてくれる映画。ただし、共感できない人も結構いるかも。

「グロリア」と言えば、ジョン・カサヴェテスのこの映画。

グロリア [DVD]

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  ↑この映画へのオマージュでもあるという今作ですが、
今作のグロリアは、もっとリアルな主人公です。

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そして、ジーナ・ローランズ(左)というよりも、
「トッツィー」(右)を思い起こさせるビジュアルでした(笑)
(にしても、このジーナ・ローランズかっこいいわ〜)

キャリア・ウーマンのグロリアは、財力もあり、自由な時間もあり、
手を離れているとはいえ、二人の子供にも恵まれ、何不自由ない暮らし。
でも、そんな彼女が、満たされない寂しさを抱えているのが
痛々しいほど伝わってきます。

ある日馴染みのクラブで、ロドルフォ(セルヒオ・エルナンデス)から
熱い視線を送られたグロリアは、彼と一夜を過ごし
二人の仲は急速に盛り上がります。
しかし付き合うにつれ、彼が1年前に離婚した前妻や成人した娘達に、
いまだに縛られているのがわかり、不信感を抱きはじめます。

ロドルフォは娘達に、交際しているグロリアの事を秘密にし、
「この年で恋愛なんて恥ずかしいし、避難される」と
言ってのけるのです。
これは、付き合ってる女性に対しての侮辱だと思うし、
自分との関係に胸をはれないパートナーなんて、要りませんよね。

これまで働いてきて子供も成人させた大人が、何をしようと、
ましてや恋愛は自由なのに、ロドルフォは後ろめたさを感じているよう。

一方のグロリアは、元夫とその妻、娘などが集まる、息子の
誕生日パーティにロドルフォを同伴します。
ところが、彼は自分がほったらかしにされたと気分を概して
その場からだまって帰ってしまいます。

そんな子供のようなロドルフォに見切りをつけるグロリアでしたが、
度重なる彼の謝罪に、根負けしてしまいます。そして。。。。

最終的にぶち切れたグロリアがとった行動は、まぁ軽犯罪に
なるんでしょうが、ちょっと胸のすく思いです。

映像的には、決して美しくない裸体が絡まり合うベッドシーンなどは、
あんまり直視したくないというのが正直なところですが(笑)、
グロリアの本能むき出しの感じを出すために、必要な感じもします。

映画はチリが舞台のようですが、欧米は大人が楽しめる場所が
きちんとあって良いですね。グロリアの馴染みのクラブも
ダンスを楽しみに来ているのが、ほぼ熟年以上のお年の方ばかり。
その方達が音楽に合わせ、心から楽しんで体をゆらす様は、
遊びを知らない日本人とはなんだか対照的だなぁと感じました。

私のような、若いときからダンスや飲みの会が苦手な人間には
必要ない場所ですが(笑)、世の中には若い頃と同じように外で
思い切り踊ってお酒を飲んで楽しみたい!と思う中高年の人も多いはず。
こういう社交の場所があれば、高齢者社会ももっと活気づくかも?!
なんて思ったりしました。

映画の中では実に効果的に音楽が使われています。一人車の中で
ラジオの曲に合わせて大声で歌うグロリア(何かを発散しているよう)や、
ホームパーティで、掛け合いで歌われるボサノヴァ“Waters of March”(素敵!)や、
ラストの“Gloria”まで。このラストのハジケッぷりは良かったですね。
“Gloria”はLaura Braniganが英語でカバーした曲に馴染みがあるのですが、
オリジナルはイタリアのUmberto Tozziという人のようです。
ラストに流れてたのは、このバージョンかな?!

http://youtu.be/JhypcER3fnQ
この時代の曲って、アップテンポでもなんかノンビリしてるなぁ

シネ・リーブル 梅田にて鑑賞。

 

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