三大映画祭週間2012:http://sandaifestival.jp/index.html
監督・脚本:アンドレア・アーノルド
出演:ケイティ・ジャーヴィス、マイケル・ファスベンダー、キルストン・ウェアリング
2009年/イギリス・オランダ/スタンダード/123分
原題:FISH TANK
※ネタバレ含みます。
【ストーリー】
ミアを取り巻く環境は劣悪だ。労働者階級のアパートに住み、粗暴な隣人たち、
昼間から酒を飲む母親と口汚く罵ることを早くも覚えた妹。
彼女自身もやり場のないフラストレーションから、
常に周囲とトラブルばかりを起こしている。
(公式サイトより転記させていただきました)
荒れてます。
15歳の少女ミア、そして彼女の家庭も。
シングルマザーの母親は、お酒とパーティが好きで育児放棄気味。
「身ごもった時に中絶しようと思った」なんてミア本人に対してこぼしてしまう母親。
ろくに愛情を受けずに育ったミアと5歳年下の妹は、人を攻撃することで
自分の身を守ろうとしているように見え、なんともせつないのです。
そんな3人の生活に、母親の友人のコナー(ミヒャエル・ファスベンダー)が加わることで
ミアの心にも変化が現れるます。コナーのように優しくおだやかに接してくれる大人は
おそらくそれまで彼女の周りにはいなかったんでしょう。
けれども、これは「包容力のある大人の男性によって更正する少女の話」なんかじゃありません。
かつてのアメリカ映画だったら、ありそうやけど。(笑)
だって、ミヒャエル・ファスベンダーがコナー役ですよ。やっぱり一癖も二癖もあるでしょっ
「ジェーン・エア」(2011年)のロチェスター役は素敵やったけど、
なんか物足りないような、裏があるような気がしないでもなかったですから。
個人的には、良い人なんかよりも、冷酷な面を持ついやらしい役なんかが彼にピッタリやと思います。
↑彼がよくする、唇の片方がつりあがった表情、いやらしいですね〜
人に甘える事ができないミアは、何かにつけ悪態をつくという対応しかできないし、
人間関係もうまく築けないのです。その姿は、なかなか見ていてしんどいものがありますが、
彼女にはこうと思ったら実行する面もあり(馬の所に懲りずに3度も行く根性はすごいよね)、
ある種のたくましさを感じずにはいられません。
ただし、ミアがキーラを連れ出してしまう展開にはどうなることかと見ていてあせりましたよー。
そこまでやるかと。取り返しのつかない結果にならずかなりホッとしましたが、紙一重でしたね。
馬が16歳で死んだ。というのは、ミア自身の少女期の終わりを暗示しているのでしょうか。
それまでは愛を求めていたミアが、愛を与える側に立ったというか、
何かふっきれたようなものを感じさせる、そんなラストシーンには胸が熱くなります。
以前、CS(シネフィルイマジカ)で“お勧め映画”として何度か放送されていたのですが、
録画したまま見ていなかった本作品。どうせなら家より映画館で見ようと思いましたが、
正解でした。良い映画との初めての出逢いは、やっぱり劇場が望ましいですもんね。
日本では何故未公開だったんでしょうか?地味だからかな。
シネ・リーブル梅田にて鑑賞。