ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「ル・アーヴルの靴みがき」 〜“カルヴァ”を注文する男〜

LE HAVRE

公式サイト:http://www.lehavre-film.com/音が出ます!

監督・脚本・プロデューサー:アキ・カウリスマキ
助監督・キャスティング:ジル・シャルマン
撮影:ティモ・サルミネン 
照明:オッリ・ヴァルヤ
録音:テロ・マルムベルグ
美術:ヴァウター・ズーン
衣装:フレッド・カンビエ
メイク:ヴァレリー・テリー=ハメル
編集:ティモ・リンナサロ
ロケーションマネージャー:クレール・ラングマン
制作主任:レミー・パラディナス、マーク・ルウォフ
ラインプロデューサー:ステファン・パルトネ、ハンナ・ヘミラ
製作総指揮:ファビエンヌ・ヴォニエ、レインハード・ブランディング
(2011年 フィンランド/フランス/ドイツ 93分)
原題:LE HAVRE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
北フランスの港町ル・アーヴル。パリでボヘミアン生活を送っていたマルセル・マルクス(アンドレ・ウィルム)は、
いまはル・アーヴルの駅前で靴をみがくことを生業としている。
家には献身的な妻・アルレッティ(カティ・オウティネン)と愛犬ライカが彼の帰りを待っている。
その小さな街で暮らす隣近所の人々の温かな支えも、彼にとってはなくてはならない大切な宝物だ。
そんなある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが漂着する。
警察の検挙をすり抜けた一人の少年イドリッサとの偶然の出会いが、マルセルの人生にさざ波をおこす。
しかし同じ頃、妻のアルレッティは医師より、余命宣告を受けるのだった…。
(公式サイトより転記させていただきました)

晴れやかな気持ちで映画館を後にするのは、やはり良いものです。

カウリスマキ監督作品を見た後に時々感じる、あのどんより〜とした気持ちもなく
ハハハと笑ってしまうような冗談のような結末も、なんだかすごく潔く感じました。
そう、ただのご都合主義的展開というのではなく、しかるべきところに落ち着いたという感じが。
その前にちょっとだけドキッとさせられましたけど。

ル・アーヴルといえば印象派ゆかりと土地という印象しかありませんが、
映画の中のこの港町は、なんだかちょっとさびれた感があって作品のテイストにピッタリでした。
(後から調べると、ル・アーヴルは第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦で破壊された後、
建築家ペレを中心に再建された街が、ヨーロッパの近代都市で初めてユネスコ世界遺産に
登録されたらしいです。勉強になるわぁ)

どこか温かみのあるようなティモ・サルミネンの映像が、この作品をよりいっそう優しくしていますね。
カウリスマキ組の俳優達に加え、フランス系の役者さん達もスッとこの作品に溶けこんでいました。
下町的人情やユーモアも交えて、こんなにフワッと移民問題を描いてしまうなんて素敵です。
カウリスマキ監督の『港町3部作』(でしたっけ?)、後の2作品も期待してしまいます。

そういえば、「君を想って海をゆく」を見た時も難民問題について考えされられました。
フランスは過去にアフリカの犠牲の上に経済を発展させてきた分、移民問題には真摯に取り組んで欲しい!
そんな事をちょっと真面目に思ったりして。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。
 
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