ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「しあわせの雨傘」 どっしりとした腰まわりでないと出せない味もある

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公式サイト:http://amagasa.gaga.ne.jp/音が出ます!

監督・脚本:フランソワ・オゾン
(2010年 フランス)
原題:POTICHE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は毎朝のジョギングが日課の幸せなブルジョワ妻だったが、
ある日、雨傘工場を運営する夫ロバート(ファブリス・ルキーニ)が心臓発作で倒れ、
雨傘工場を切り盛りすることに。亭主関白の夫の下で押し黙る日々を送っていた彼女だったが、
子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が目覚めていく。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

フランソワ・オゾンという人は、作品毎に雰囲気が違って面白いですね。引き出しが多いというか。
8人の女たち」にはノレなかった私も、これは楽しかったデス。

元々は、フランスで人気の高いコメディー戯曲を映像化したという事ですが、
夫ロバートが会社に復帰した後の展開はオゾン自身の手によるものらしいです。
この部分が、いかにも映画的な劇的展開で良かったんじゃないでしょうか。

この豪華キャスティングは、とりあえず見に行きたくなりますよね〜♪
私自身は、こんな能天気で明るいジェレミー・レニエを初めて見て、なんか嬉しくなりました。

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オープニングから、クレジットのフォントや色合いがなんかレトロな雰囲気やなぁと思ってたら
1970年代の設定やったんですね。ブルジョワジーと共産主義の対立という構図と、
家長主義というか男尊女卑的考えがまだまだ根強く残ってる雰囲気。
この頃は、おそらくフランス共産党がまだソ連べったりの時代だったんでしょうね。
そういえば、映画「オーケストラ!」で、ソビエト共産党とフランスのそれとの繋がりを思わせる
エピソードがありました。(かなりフザケテタけど)
このあたり、フランスで生活している人ならもっとピン!とくるんやろなぁと思います。

大人しい妻と思われていたスザンヌが、実は奔放な時間を過ごしていて後悔していないところや、
復縁を迫るババン(ジェラール・ドパルデュー)を袖にした上、その幻想を打ち砕くところが
気持ち良いです。さすがオゾンは女性という生き物をわかってらっしゃる。

あざやかな傘の登場(カンディンスキーをモチーフにした傘まで!)には
シェルブールの雨傘」を思いしますよね。ジェレミーの70年代ファッションもいい感じ。

個人的には、スザンヌがおもむろにメモを取り出し(平凡な)詩の断片を書き留めるシーンが
ツボでした。道で拾ってもらったトラック運転手と交わす視線が思わせぶりなシーンも良かった。
ここのところ、その体形と共にふてぶてしさが目についてしまってたカトリーヌ・ドヌーヴでしたが、
この役に関しては、そのふくよかさと彼女の存在感あってこそという感じでした。
改めて彼女が好きになる映画です♪

梅田ガーデンシネマにて鑑賞
来週は、梅ガデで「クレアモントホテル」観るゾッ