ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ペルシャ猫を誰も知らない

PERSIAN CATS

公式サイト音が出ます!

監督・脚本:バフマン・ゴバディ
脚本:ロクサナ・サベリ、ホセイン・アブケナー
撮影:トゥラジ・アスラニー
編集:ハイェデー・サフィヤリ
(2009年 イラン)
原題:NO ONE KNOWS ABOUT PERSIAN CATS

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
西洋文化の規制厳しいイラン。アシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)と
ネガル(ネガル・シャガギ)は、好きな音楽を自由に演奏することだけを夢見ていた。

出演者のほとんどは実在のミュージシャンたち。
主役の2人は、撮影が終了した4時間後にイランを離れ、物語は彼らの実際の経験に基づいている。
コンサートもCD発売も許されていないミュージシャンを撮影するために、
ゴバディ監督は、当局に無許可でゲリラ撮影を敢行。本作を最後にイランを離れた。
(公式サイトより転記させていただきました)

ペルシャ猫は自由を求める。ニャーッ!

「イランでは、犬でも猫でも外に連れ出すことはできません。」
ご存知でしたか? 私は知りませんでした。

イランでは、政府の検閲が通らない西洋文化(映画・本・音楽他)は禁止。
ミュージシャン達は常に逮捕されるリスクをかかえながら演奏している。
女性がボーカルに参加するには3人以上でコーラスでないとダメだとか、
もう何がなんだか、訳のわからん理屈がごり押しで理不尽この上ない。
見ているだけで「アーッ!」と叫びたくなる。

こんな抑圧された社会の中で、若者達はなんとか音楽活動をしようと模索するわけなんですが、
やっぱり最終的には“国を出る”という事になってしまうのは、いたしかたないと思います。
誰だって自国や家族を捨てたくはないはずですが、そこに思想、言論や表現の自由がない時は果たして。。。
この状況を自分に置き換えて考えるのは難しいですね。“自由”が当たり前の社会に生きていると。

それでもテヘランのアンダーグラウンドでは、ブルースからラップまで様々な音楽活動が
なされているんですね。ビル屋上の小屋で練習をしているインディー・ロックバンドの4人組なんて、
見た目も全く欧米の若者と変わらないし。牛小屋で練習をしているヘヴィメタバンドには笑った♪

密売屋ナデルを演じるハメッド・ベーダードの、おそろしく早口なセリフ回しや
いかにも胡散臭い雰囲気も笑えました。職業人としての俳優やなぁという感じ。

この映画で語られてる事だけが真実とは思わないけれど
自国の政府や政治批判ができないなんて、それだけで閉塞感でいっぱいになると思う。
警察の目をかいくぐり、たった17日間の撮影でここまでの作品を創るという事に
単純に驚いてしまいます。
この作品を創るにあたっての監督や出演者の覚悟が、半端無いですよね。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。