ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

罪の天使たち

Les anges

監督・脚本:ロベール・ブレッソン
(1943年 フランス)

【物語】
良家の令嬢アンヌ=マリー(ルネ・フォール)は、自ら見習い修道女になるために修道院を訪れる。
修道院では、刑務所で服役を終えた女性たちをも受け入れていた。刑務所を訪れたアンヌ=マリーは、
テレーズ(ジャニー・オルト)という受刑者に関心を抱く。

罪と魂の救済。

久しぶりにやってしまいました(汗)
映画館に到着した時ミョーに静かやナァと思ったら、あーらっもう上映してるじゃありませんか!
時間を見間違えたのか思い込みか、すでに上映開始から5分超過。。。。
ショックが大きい。オープニングのあのドキドキ感が好きなのに。トホホ

プロの俳優を一切起用せず自らの作品群を「シネマトグラフ」と呼ぶ等、
作品を語る時なにかとその手法が引き合いに出されるブレッソンですが、
この長編デビュー作は、プロの俳優さんが演技してはるんですね。
とはいっても俳優陣の演技は非常に抑制されていて、なかなか心地よかったです。

刑期を終えた女性と修道院長らが刑務所から出てきて、かつての犯罪仲間を撒くシーンなんかは
この時代の犯罪映画の匂いがします。想像以上に映画らしい作品です。

修道院と刑務所が舞台という、何か秘められた世界のような暗さの中で
主役のアンヌ=マリーだけはやたら明るくて、その生命力が眩しい。
他の修道女に自分の欠点を聞いて回るあの行動は、修道院の慣習なんでしょうか?!
アンヌ=マリーが癇癪もちで子供っぽいのに、ちょっと笑ってしまった。シリアスな映画やのになんか可笑しい。

セリフが多くてなおかつ意味深(本当の意味で)なので、なかなか大変でした。
一つのセリフを理解しようとする間に、もう別の言葉が発せられてて。オシャベリなシスター達めっ!
作品を通して宗教性があまり感じられないというか、これは別に哲学的アプローチから神の存在を
問う作品では無いんですね。
こういう題材を取り扱う時の、シンボル的存在として“神”を取り扱っているように感じました。

第七藝術劇場にて鑑賞。