ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

海の沈黙

海の沈黙 星への歩み (岩波文庫 赤 565-1)海の沈黙 星への歩み (岩波文庫 赤 565-1)
(1973/02/16)
ヴェルコール

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監督・脚本:ジャン=ピエール・メルヴィル
原作:ヴェルコール
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:エドガー・ビショフ
製作:ピエール・ブロンベルジェ
製作主任:エドモン・ヴァクスレール
製作総指揮:マルセル・カルティエ
(1947年 フランス)
英題:LE SILENCE DE LA MER

【ストーリー】
1941年、ドイツ占領下のフランスのとある村で、老人(ジャン=・マリー・ロバン)は
姪(ニコール・ステファーヌ)と二人で暮らしていた。
ある日、彼らはドイツ兵に2階の部屋を将校(ハワード・ヴァーノン)に提供するよう言われる。
現れた将校はフランスに対してあこがれを抱いており、毎晩フランスに対する思いなどを語るが、
彼らは無言を押し通す。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

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スタイリッシュなオープニング。通り過ぎた男が残したトランクの底には「海の沈黙」の本が。

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ドイツ占領下のフランスで地価出版された、ヴェルコール作レジスタンス文学の映画化。
メルヴィル自身も第二次大戦中、兵役はもちろんレジスタンス活動に身を投じていたんですね。

「いぬ」等のギャング映画や、コクトーの「恐るべき子供たち」のイメージの強いメルヴィルでしたが、
今まではこの監督のほんの一面しか知らなかったんだなぁと思いました。

ほとんどのシーンが、老人と姪が過ごす居間に将校が訪れ一人語りをするというものです。不思議な緊張感。
お互いにセリフをかわす事はほとんどないものの、それぞれの心の変化をカメラは鮮やかにとらえています。
アンリ・ドカエのカメラワークは素晴らしい。

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ナチスに対する平面的とも思える描き方には、正直ちょっと違和感を覚えました。
ドイツ娘の気性をあらわす、虫のシーンには笑ってしまったし。極端でしょっ!面白いけど。

ここに存在する、禁欲的というか慎ましやかな男女の恋愛感情みたいなものはとても好ましくて、
だからこそ「アデュー」というセリフ一つの重みが違ってくるんだなぁ、きっと。

それにしても、この作品が日本初公開(2009年11月に東京日仏学院にて)だったとは!!!!

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。