ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

アデュー・フィリピーヌ_ジャック・ロジエのヴァカンス その1

アデュー・フィリピーヌ [DVD]アデュー・フィリピーヌ [DVD]
(2006/09/30)
ジャン=クロード・エミニイヴリーヌ・セリ

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監督・脚本:ジャック・ロジエ
共同脚本:ミシェル・オグロール
撮影:ルネ・マテラン
(1961年 フランス)
ADIEU PHILIPPINE

【物語】
テレビ番組のケーブル移動係の19歳の青年ミシェル・ランベール(ジャン=クロード・エミニ)は、
二人のコケティッシュで明るい美少女、リリアーヌ(イヴリーヌ・セリ)と
ジュリエット(ステファニア・サバティーニ、声の吹き替えはアニー・マルカン)と知り合う。
無邪気な彼女たちは同居している親友同士だが、どちらがミシェルをものにするかを競い合う。
彼女たちはミシェルにつきまとうが、兵役を間近に控えたミシェルは、どこかさめている。
やがて、仕事を辞めたミシェルはコルシカ島に遊びに行くが、
二人の女の子は彼を追ってコルシカ島にやってくる…。

ヌーヴェルヴァーグの伝説的監督としてその名前しか知らなかったジャック・ロジエの作品が
上映されるなんて! 嬉しい〜。シネ・ヌーヴォさん、ありがとう!!!!
ずっと会員でよかったよぉ。最近の会報誌では「厳しい状況」なんていう文言がちらほら書かれているので
経営状況が気になってます。こういう映画館が存続していく事がすごく大事なんです、ハイ。

という訳で、今週はなんとか「アデュー・フィリピーヌ」「オルエットの方へ」と、
短編「ブルー・ジーンズ」「バルドー/ゴダール」「パパラッツィ」を観ることができました。
来週は「メーヌ・オセアン」を鑑賞する予定。

Adieu Philippine


「喧騒」この言葉が浮かぶ映画。そして、祭りの後のむなしさも。

最初に「アルジェリア戦争6年目」という文字が映し出される。そういう時代背景。
女優志願の二人の女の子、プロ意識が全くなさそうな感じが可笑しい。
CMの試写のシーンは、冗談としか思えないラッシュが延々と上映されるし、
CM制作会社の社長が思いっきり胡散臭い。「ポルシェは音がうるさくて云々…」のセリフも笑わせる。

ミッシェルの家での食事シーン、なんという食卓の賑やかさ!
父親いわく「フランス人は規律に従わない」「怖いのは中国だ。今は6億だが2000年には10億になっている」
等、セリフの一つ一つも面白い。

そして、ヴァカンスを過ごすコルシカ島のこの喧騒!
こんな状況が成立するのは、国民性か、ヴァカンスという解放された状況のせいか。
いずれにしても、なんだかうらやましいゾッ!

突然海から出没するイタリア男の存在も可笑しいし、そこからはカンツォーネ一色で、
いかにもイタリア風。こういう小ネタの宝庫ですね、この映画。

ミシェル役の方がもう少し繊細な雰囲気の人だったら良かったのにと、チラッと思いましたけどネ。
彼、いつもVネックのセーターを半袖くらいまでたくし上げてるスタイルで、ちょっとゲンナリ。
ファッションだけに限ると、ロジエ作品の男性はセンスがあまりよろしくないかと思います。

それに比べて女性陣はキュート!ジュリエットはチャチャチャのステップを自信満々に踏むところが可愛いし、
リリアーヌは、その表情が愛らしくて。全く無名の女優さんなのにすごく輝いてる。
アデュー・フィリピーヌ!」と叫ぶシーンには、なんか興奮した!

ここに登場する若者達のキラッと光る一瞬、そんなものがまぎれもなく映し出されてます。
あ〜、それだけでもうゾクゾクするほど美しくて、残酷ともいえる映像です。

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。