ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

アガサの命日

一番たくさんの数、その著書を読んだ作家はアガサ・クリスティです。
彼女のミステリーに関しては戯曲以外は、全て読んだんじゃないかなぁと思います。
推理小説以外のクリスティ作品に関しては、まだ3〜4冊しか読めてませんが。

普通の小説よりも推理小説が好きというわけでもないのに(イギリスの刑事ドラマは大好きですが)、
アガサ・クリスティの本に限っては次から次へと読みたくなるのが、少し不思議な気もします。
謎解きにもさほど関心があるわけでもないし。

1976年の今日1月12日にアガサは亡くなっています。そんな事をぼんやり考えながら
何回も繰り返して読んでいる本はどれかなぁ等と思い返してみると、
彼女の作品に惹かれる理由がわかる気がしました。

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2003/10)
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ここには、ミス・マープルの短篇13篇が収録されています。
アクロイド殺し」「オリエント急行の殺人」「そして誰もいなくなった」「ナイルに死す」等の
他の有名な作品にあるような、はぁーっ!と感心する謎解きやオチがあるという訳でもなく
割合と淡々とした作品です。逆にそれがいいんです。だから何回でも読めるとも言えます。
私が一気にミス・マープルのファンになった本でもあります。

この中流階級の上品なおばあちゃんに関しては、本の冒頭にある著者のことばを読めば
その人物像がつかめると思います。アガサは自分の祖母をモデルにしたようですね。
ミス・マープルが登場した時の奥ゆかしい印象とその後の展開の可笑しみ、
ゆったりとした話の流れ等、心地よさを感じる短編集です。

スリリングな作品よりはゆる〜いものに心惹かれる私ですが、緊張感のあるお勧めのクリスティ作品も
一冊だけ上げておこうと思います。

無実はさいなむ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)無実はさいなむ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2004/07)
アガサ クリスティー

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アガサの作品の魅力は、登場人物の人間性や人間関係の描写の素晴らしさですね。
文章を読むと映像が鮮やかに頭に浮かび、想像力をかきたてられます。

映像といえば、クリスティ作品を映画化したものをこれまで何本か見ましたが、
どれも今ひとつでした。ただしビリー・ワイルダー監督の「情婦」は別です。一見の価値あり!

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ドラマに関しては言うまでもなく、デビッド・スーシェの「名探偵ポアロ」シリーズ、そして
ジョーン・ヒクソンの「ミス・マープル」ですね。
ジョーン・ヒクソンのシリーズで「火曜クラブ」がつくられていれば、面白かったやろなぁ。残念。

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クリスティの作品には、イギリスの料理(こちらはあまり食指を動かされませんが)やお菓子も
よく登場します。「バートラム・ホテルにて」では、ホテルのティールームのシーンに、
イギリスのいわゆるホンモノのマフィンやシードケーキが出てきたり。あーっ、お腹空いてきたっ