監督:トム・マッカーシー
原題:THE VISITOR
(2007年 アメリカ)
【ストーリー】
妻に先立たれて以来、心を閉ざして生きてきた大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)。
出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンの別宅で見知らぬ若いカップルに遭遇。
彼らはシリアから移住してきたジャンベ奏者のタレク(ハーズ・スレイマン)と
彼の恋人でセネガル出身のゼイナブ(ダナイ・グリラ)だと名乗るが……。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)
「9.11以降、この国が人々を、特に不法滞在者たちをどのように扱っているのか、という疑問が
本作の物語へと導いたんです」と監督は語っている。
静かな住宅街。窓辺にたたずみ赤ワインを飲む男性。待ち人はピアノの教師。
いかにも教養あるクラスの人物らしいが、どこか生気のない様子。
妻を亡くしてからか死んだ様に生きている男が、シリアからの移民青年と知り合い、
音楽を通じた触れ合いにより生きる情熱を取り戻す物語。
タレク役のハーズ・スレイマンさん、カッコイー!ですね。
ジャンベ叩いてみたいし、アフロビートの著名なアーティスト、
フェラ・クティのCDも聞いてみたくなりました。
自由であるはずの国、アメリカにおける人権についてまた、ここでも考えさせられます。
それでもアメリカ人自らが「アメリカ」という国に対して公に疑問をなげかけられる、
その思想の自由というのはすばらしいですね。
そういえば上映後、トイレでご一緒した女性が「チャップリンは1971年にはすでに
アメリカに自由が無いという映画をつくろうとしたけど、だめになったのよ」と
声をかけてくださいました。
タレクの母親モーナ(別の映画でもみた女優さんなんやけど、思い出せないぃーっ)の
静かで決然とした様子が印象深い。ウォルターと彼女の初々しい関係も素敵。
この作品で、リチャード・ジェンキンスがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。
梅田ガーデンシネマにて鑑賞。