ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

夜顔

監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
(2006年 フランス/ポルトガル)
原題:BELLE TOUJOURS

【物語のはじまり】
パリの夜。アンリ・ユッソン(ミシェル・ピコリ)はコンサート会場で
かつての友人の妻、セヴリーヌ(ビュル・オジエ)の姿を見かける。
声をかけようと追いかけるが、彼女は彼を避けるように立ち去る。

カトリーヌ・ドヌーヴ主演「昼顔」の登場人物たちの38年後を、
去年99歳になったマノエル・ド・オリヴェイラ監督が描いた作品。

カトリーヌ・ドヌーヴとピエール・クレマンティが印象的だった「昼顔」が
ルイス・ブニュエル監督作品だとは知りませんでした。
(こちらの作品でのミシェル・ピコリは正直全然記憶にござません。。。)
ブニュエル監督と言えば、サルバドール・ダリと創った「アンダルシアの犬」の
シュールな感じや「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」「自由の幻想」など、
20代の頃に観て正直わけ判らん!と感じた印象が強いんですよねー。
けど、今回調べてみるとそういう作品は一部の様で、有名な 「哀しみのトリスターナ」等も
ブニュエル作品やったんやぁー。勉強になるなぁ。

話を「夜顔」に戻しますと、ミシェル・ピコリの独壇場といいますか、魅せますねー。
愛嬌があって、堂々としてて、こっけいな様にみせかけながら悪魔みたい。
手の震えや飄々とした態度や間のとり方が好き。先日「ここに幸あり」を観たから
よけいにそう思うのかなぁ。

カフェでの娼婦達やバーテンダーの会話もいいですねー。なんともいえない可笑し味がある。
この作品、観客は置いてきぼりか?とも思える展開なので、はっきりとしたオチや
ドラマチックな物語を映画に求める方には向いていません、ハイ。
最初のコンサートシーンから気に入った方は大丈夫だと思います。

この映画には「昼顔」が創られた60年代のフランス映画と合い通じる所がある様に
感じました。アンティークショップの前で二人が偶然出逢ってしまうシーンの
カメラワーク等はトリュフォーの作品を思い出したりして、レトロな感じが
かえって新鮮。
また、70分という短さは小粒でピリリとした感じ。

残念だったのは、「昼顔」を観たのがあまりにも昔で、ほとんど細かい記憶が
残っていなかった事。今回観たこの作品の音楽やシーン等に、もしも「昼顔」から
引用されたり関連したものがあったとしても判らないのはくやすぃぃー!
そう思ってツタヤでDVDを探すも無いしぃ。
夫の友人役を演じていたミシェル・ピコリの姿も確認したいなぁ。

そうそう、ミシェル・ピコリ主演の同監督作品「家路」はたぶん観てないはず。
観たい映画がまた1本増えたぁ〜。
 
テアトル梅田にて鑑賞。