「ノマドランド」
地味だけど、ものすごく好き。
作り手の情熱を感じられる、しみじみといい映画だった。
元となったのは、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「家を持たずにキャンピングカーで生活し、季節労働の現場を求めてさまよう現代の遊牧民『ノマド』を3年かけて取材・執筆した衝撃のルポタージュ」
この映画化権利を買ったフランシス・マクドーマンドが、
新鋭クロエ・ジャオに脚本と監督を依頼。
アメリカのように企業の利益が優先されて格差が拡大し続けている国では、多くの車上生活者が発生している。
俳優ではなく本物のノマドが多数出演しているせいか、フィクションとドキュメンタリーが融合したようなリアルな作品で引き込まれる。
たまに目にするスピーチなどから、マクドーマンドが撮ったなら社会的なテーマだろうなぁと予測はできたけど、決して難しくもないし悲壮感もない。
一種の清々しさと、限りなく自由な精神の匂いみたいなモノを感じる。
ここからノマド的思考を垣間見た気はしたのだけど、やっぱり私にはハードルが高い。
色々なモノや人に精神底にどっぷり依存してる今の私には、自分に置き換えてみることが難しいのが正直なところ。
それでも、近い将来もしかして、、、と思わないでもない。
自分の場合は家よりも、家族や職場、街に執着している感が強いので、家族と仕事を失ったらまさにこの主人公以上にうろたえてしまうと思う。
衰退の一途をたどり、もはや先進国とはいえない日本の状況を考えると、ノマド生活はもっと過酷なモノになると想像できる。
(住所がなくても雇用契約が成り立つアメリカが羨ましい)
フロンティアスピリッツのかけらもなく、安定思考でオタクな自分には、少しずつ訓練が必要かもしれない。
それにしても、目の前の広大な景色(砂漠とか海とか地平線とか)を見て、晴々とした気持ちになる人達が羨ましい。
私はむしろ不安や恐れの気持ちが先に立ってしまうので、そういった場所に一人で行く事を好まない。
精神的に自立できてないのが、そんなところにも現れているのかも、と思ったりします。
劇場で見ることをお勧めする、そんな映画です。
TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
今週末からと、来週末から
大阪市内で公開される映画の中から
気になる作品をピックアップします。
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