ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「街の上で」 〜かつて存在した日常〜

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「街の上で」

公式サイト:https://machinouede.com/

脚本:今泉力哉
脚本・今泉力哉・大橋裕之
(2019年/日本/130分)

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
下北沢の古着屋で働いている荒川青(あお)。青は基本的にひとりで行動している。たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。口数が多くもなく、少なくもなく。ただ生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。事足りてしまうから。そんな青の日常生活に、ふと訪れる「自主映画への出演依頼」という非日常、また、いざ出演することにするまでの流れと、出てみたものの、それで何か変わったのかわからない数日間、またその過程で青が出会う女性たちを描いた物語。
(公式サイトより転記させていただきました)


最近見た日本映画の中でダントツに好き!


元々、煌びやかだったり派手な主人公や作品には、さほど惹かれる方ではないのですが。。。。

この主人公の地味っぷりが見事で(笑)

今泉監督の「愛がなんだ」のナカハラ青役でいい味だしてた若葉竜也さんが、今回の主人公・荒川青として帰ってきた感じもして、ちょっと嬉しい。

ビジュアルも含め(笑)ごくごく平凡な青に共感する人は、きっと多いだろうなぁ。
私は、この自然体でカッコつけてない感じがめっちゃ好きだわ。
そして、基本的に善良な人間ってのが大前提だと思う。


こんなふうに平凡な会話を楽しめる映画、続くコミカルな展開、そこだけはフランス映画っぽいなと思ったりして。
ラスト近くの道端でのやりとりは、ほんと楽しかったな。


普段から気になる役者さんがたくさん出てて、そこも得した気分だったし。

特に、出てくる女子がみんな個性的。
中でも中田青渚さんが「君が世界のはじまり」に引き続き、すごい存在感!
彼女のネイティブ関西弁、可愛らしいわ。


こんな風に、住んでる町の色々な場所に自分の居場所があるって、いいなぁ。
いきつけの食堂や酒場のマスターと顔見知りで言葉を交わす、なんて憧れるけどこれまで経験した事ない(悲)

フラッと訪れるライヴハウス、小さな箱での芝居、夜遅くまで空いてて一人で立ち寄れるバーなど、またしてもコロナ以前の世界への郷愁みたいなモノが湧き上がってしまったやないですか!
唯一、変わらないように思える古本屋の存在も、コロナ禍でなかなか商売を続けることが難しくなってきてるんじゃないのかなー?!


けど、悲観ばかりしてられない
新しい世界で、自分なりにイキイキと過ごす方法を模索していかなければ!

といいつつ、新しい人間関係をつくっていくのが難しい時代になってしまったのは、やっぱり寂しいですね。


テアトル梅田にて鑑賞