ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ビューティフル・デイ」〜ストレスフルな体験! だけど惹きつけられる〜

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公式サイト:http://beautifulday-movie.com/

監督・脚本:リン・ラムジー
原作:ジョナサン・エイムズ
音楽:ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)
製作・パスカル・コーシュトゥー、ローザ・アッタブ、ジェームズ・ウィルソン、レベッカ・オブライエン
(2017年 イギリス制作 90分)
原題:YOU WERE NEVER REALLY HERE

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
元軍人のジョー(ホアキン・フェニックス)は行方不明の捜索を請け負うスペシャリスト。
ある時、彼の元に舞い込んできた依頼はいつもと何かが違っていた。
(公式サイトより転記させていただきました)

You Were Never Really Here (Film Tie-in)

 

言葉ではなく、映像と音楽から恐怖と美しさを感じる


冒頭から、頭にビニール袋かぶったまま呼吸してるシーン
見ているこっちも、だんだん息が苦しくなってくる
怖いよー

ヘタレな私を含め、ここからすでにストレス感じてしまう人にはちょっとキツい映画かも
この先、もっと心理的に辛い展開が待っているから、元気な時に見た方が良い映画かもしれない
それから「目的のためには暴力も肯定する」とも取れる映画なので、そこに抵抗がある方は見ない方が良いと思います

 

何かしらヤバい仕事をテキパキとこなした感があるジョー
飛行機に乗り家に帰れば、かいがいしく老いた母親の世話をする
母親との親密な関係は、暴力的な父親の被害者同士の連帯感かも、と想像させる

繰り返される過去の断片のシーンからも見て取れる、ジョーのトラウマを考えるだけでもしんどい
そこに加え緊迫感をます音楽が、効果的なおかつ不快(笑)
不協和音+爆音に頭がクラクラする

死にとり付かれ、自分の弱さに苦悩し続けるジョーの様子には胸を締め付けられる
と同時に、彼の心の底にある善良さと時折みせる狂気に惹きつけられずにはいられない
この役を演じてるんじゃなくて、ホアキンがこの人なんじゃないかと思えてくる

湖に沈もうとしたジョーの脳裏をよぎった少女、最終的に彼女がとった行動を知った彼の絶望感に感情移入してしまい、泣きそうになってしまう
胸が押しつぶされそうな辛さと感じると同時に、追い詰められた者が見せる一種不思議な美しさに魅了されるというアンビバレントな体験

そしてラスト、少女から発せられる平凡な言葉に、こんなに救いを感じるなんて!
直前の絶望感 → 希望への誘い方が上手い
単純な私は、毎日を大切に感謝して生きていこう、なんて事まで考えてしまったじゃないですかっ


それにしても、私は主人公に感情移入できたのでこの映画に入っていけたけど、客観的に娯楽映画としてはどうなのかな?とも思う
そもそもが原作のせいですが、ジョーが狙われた原因が「いくらなんでもそこまでする?」って感じで、リアリティがないから


というわけで、同じ映画でも様々な評価があるだろうし、面白いな〜と思います。
でも、やっぱり、ホアキン・フェニックスはすごいわ! それは間違いない


梅田ブルク7にて鑑賞