ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「君の名前で僕を呼んで」〜勘違いでも美しい〜

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公式サイト:http://cmbyn-movie.jp/

監督・プロデューサー:ルカ・グァダニーノ
脚色・プロデューサー:ジェームズ・アイヴォリー
原作:アドレ・アシマン
プロデューサー:ピーター・スピアーズ / ハワード・ローゼンマン
撮影監督:サヨムプー・ムックディプローム
編集:ヴァルテル・ファサーノ
プロダクションデザイン:サミュエル・デオール
衣装デザイン:ジュリア・ピエルサンティ
挿入歌:スフィアン・スティーヴンス
美術監督:ロベルト・フェデリコ
セットデコレーター:ヴィオランテ・ヴィスコンティ
(2017年 イタリア/フランス/ブラジル/アメリカ制作 132分)
原題:CALL ME BY YOUR NAME

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会う。彼は大学教授の父(マイケル・スタールバーグ)の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。やがて激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく……。
(公式サイトより転記させていただきました)


タイトルバックの画像や音楽の使い方など、80年代の映画か?と思わせるノスタルジィ溢れる作品でした
かつてのアイヴォリー組の作品から感じたような煌めき、、、とまではいきませんでしたが、こういう「美しい」映画が見られるのはとても嬉しいのです。
そして、オリヴァーのダンスに笑いました、フフフ

一言でいってしまうと「バカンスで出会った狂おしい初恋!」という映画です

甘美だったり、苦かったり、それが大いなる勘違いだったと気づく前に終わった恋は、美しいですね
(「恋」なんて所詮錯覚という前提でです、ハイ)
少なくてもその時の気持ちは本物だから、人生の中でかけがえのない一瞬として刻まれるのかな
原作では、この出来事を後に回想するという構成になっていると知って、なんとなく腑に落ちました 

君の名前で僕を呼んで (マグノリアブックス)

君の名前で僕を呼んで (マグノリアブックス)

 

イタリアの田舎の夏、まばゆい陽光ときらめく水しぶき、涼しげな木陰、
そこにSufjan Stevensの甘酸っぱい音楽
と、綺麗な要素満載ですが、そんなモノにはだまされてはいけません(笑) 

「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック

「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック

 

ラスト近く、父親がエリオに優しく語りかけるシーンがこの作品のキモだと思います
鈍くなった私の感受性にも響いたこの言葉は、ほぼ原作通りだということなので、原作読むかな〜

エリオの父親役は「シェイプ・オブ・ウォーター」ではホフステトラー博士役だったマイケル・スタールバーグ
実に様々な作品で、個性的な役を演じています

芸術・文化的に豊かで自由な思想の家庭で育った主人公は、数少ない恵まれた環境にある訳です
こんな父親(しかも80年代)、そういないでしょう!

エリオの母役のアミラ・カサールも、落ち着きと品を感じさせる美しさで、いいキャスティングです

そして、エリオの初恋の相手オリヴァー役のアーミー・ハマー
オリヴァーのファッションや踊り、80年代なのを考慮してもダサすぎて笑えます!
確かに、ファッショナブルじゃないアメリカ人のイメージそのものではあるのですが(笑)

アーミー・ハマーは、ハンサムだけど個性を感じないというか、ヘタすると凡庸な感じがしてしまうタイプの俳優さんかもしれません
脇役で性格悪い役とか、似合うかも(あくまでも個人的感想なのでスミマセン)
今回は、エリオとは違い常識的でフツーな人生を歩んでいきそうな、そんなオリヴァーにハマってたと思います

ティモシー・シャラメくん、ナチュラルでリアリティある演技で、瑞々しさもあり良いのですが。。。。
正直、エリオかオリヴァー、どちらかが個人的にもう少し魅力を感じる俳優さんだったら、もっとこの映画に入り込めたかなと
こればっかりは、好みなんで仕方ないところです

 

「隣人が原作小説の映画化の権利を持っていて」というジェームズ・アイヴォリーのインタビュー、必然というかそういう偶然ってあるもんなんですね

  

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞