ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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マシュー・ボーンの「眠れる森の美女」 〜おとぎ話の意外な主役〜

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公式サイト:http://matthewbournecinema.com/nemurerumorinobijo.html
※音声が出ますのでご注意ください

演出・振付:マシュー・ボーン
音楽:ビョートル・イリイチ・チャイコフスキー
舞台・衣装デザイン:レズ・ブラザーストン
照明:ポール・コンスタブル
指揮:ポール・グルースイス
収録:2013年5月、イギリス、ブリストル ヒッポドローム劇場
(105分)
原題:MATTHEW BOURNE'S SLEEPING BEAUTY

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
魔法使いの呪いで100年の眠りについたオーロラ姫。
彼女が目を覚ました世界は現代だった・・・。
古典バレエとしてだけでなくディズニー映画でも世界的に有名なストーリーを、バレエ界の奇才マシュー・ボーンがアレンジしたゴシックロマンス。
(公式サイトより転記させていただきました)

8月の「白鳥の湖」に続き、ボーン振付作品の舞台が映像で見られるチャンス!
私のように、バレエ&コンテンポラリーダンスに興味はあるけど劇場は敷居が高いと思われている方に、ぜひお勧めします。
テアトル梅田では、2015年9月25日までの上映です。

またまた、マシュー・ボーン独自のストーリー展開と演出に驚き。
全部で4幕の構成ですが、圧倒的に第1幕「オーロラ姫の誕生」が好みです。

子宝に恵まれない王&妃は、邪悪な妖精カラボスに願掛けし、やがてオーロラが誕生します。
ここで操り人形の赤ん坊(オーロラ姫)が登場するのですが、このパペットの生き生きしていてユーモラスで可愛いこと!
今作、私にとっての主役はこのベビーかもしれません。
やんちゃなベビーに翻弄される乳母や使用人達の様子が可笑しくて、コメディとしても楽しい〜

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ベビーの誕生を祝い、妖精達が訪れるシーンは幻想的。
これはもう、単純にドキドキ、ワクワクの世界です。
窓窓越しに見える大きな月、立ち込める霧の中、妖精達のダンスはそれぞれ個性的。
ベルトコンベアーみたいなモノも使われてました。
ベビーが首をかしげ、彼らのダンスを見守る様子も可愛い。

第2幕に入り、成人したオーロラ姫(ハナ・ヴァッサロ)は相変わらずお転婆。
彼女と王の狩猟番レオ(ドミニク・ノース)、若い二人の戯れ合うようなダンスがとても可愛いですね。
ドミニク・ノースは、先日の「白鳥の湖」で王子役だった人。
彼のダンスは、伸びやかで美しく素直な感じなので、この若い恋人というキャラクターにピッタリです。

リラ伯爵はそういうキャラだったのか!という驚きと共に、2幕は終了し、第3幕では小さな羽が生え妖精となったレオが登場します。
悪役カラドック役のアダム・マスケル、男性的フェロモンがムンムンに見えるのは、そのモミアゲのせいなのか?(笑)
彼が第1幕で演じたカラドックの母親カラボスは、予備知識も英語字幕もなければ女性とはわかりませんでした。
「白鳥の湖」のザ・スワン/ザ・ストレンジャーもそうでしたが、悪役のダンス、特に4幕のカラドックのダンスからはラテン系の匂いを感じました。

ラストにもう一度、あのパペットが登場して嬉しかった。
演劇の要素が強いマシュー・ボーン作品は、バレエだけではちょっと。。という方にも楽しめると思います。
ただ、日本語字幕がないせいで、ストーリー展開がちょっとわかりにくいかもしれませんね。

テアトル梅田 にて鑑賞

 

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