ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「彼は秘密の女ともだち」〜性別なんかどうでもよく思える〜

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公式サイト:http://girlfriend-cinema.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:フランソワ・オゾン
原案:ルース・レンデル
衣装:パスカリーヌ・シャヴァンヌ
メイクアップ:ジル・ロビヤール
撮影:パスカル・マルティ
(2014年 フランス制作 107分)
原題:Une nouvelle amie

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
クレール(アナイス・ドゥムースティエ)は幼い頃からの親友のローラ(イジルド・ル・ベスコ)を亡くし、悲しみに暮れていた。
残された夫のダヴィッド(ロマン・デュリス)と生まれて間もない娘を守ると約束したクレールは、二人の様子を見るために家を訪ねる。
するとそこには、ローラの服を着て娘をあやすダヴィッドの姿があった。
(公式サイトより転記させていただきました)

ロマン・デュリスの役者っぷりを見た!

大切な人を失った喪失感、その人と過ごした想い出の日々ー
哀しみにどっぷり浸ったセンチメンタルな映画の始まり

しかし、ジョギング途中のクレールがダヴィッドの様子を見に彼の家を訪れたあたりから、映画のトーンがグッと変わります。

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見る前は、デュリスが女装ってどうなん?と(笑)
かなりコメディ寄りの映画なのかな〜?とか勝手に想像してましたが、いやいや。
クスッと笑えるシーンもありますが、恋愛映画としての比重が高いです。

なんといっても女性の姿をしたロマン・デュリス、立ち居振る舞いや仕草がエレガントなんです。
そして、足が奇麗!
あのゴツくてヒゲの濃いご面相から、こんな素敵な女性になるとは想像できなかったけど。

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ダヴィッドは異性装者ですが、ゲイではありません。
グザヴィエ・ドラン監督の「わたしはロランス」(2012年)を思い出します。
こちらの主人公もただ女性になりたいだけで、愛する対象は女性でした。

そんなダヴィッドを最初は非難していたクレールですが、女装した彼を「ヴィルジニア」と名づけ、秘密を共有することになります。
夫といる時よりも、ヴィルジニアと会っているクレールは楽しそうでウキウキしています。

ここまでくると、ハンサムで仕事もできて優しい非の打ち所がない夫ジル(ラファエル・ペルソナ)が可哀想になってきます。
見ているこちらは、ロマン・デュリスよりラファエル・ペルソナの方が、ずっといいのに〜などと思ってしまうわけです(笑)

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しかし、クレールはヴィルジニアに夢中になるんですね。
彼女はバイセクシャルなのかもしれませんが、自覚していなかった幼馴染ローラに対しての恋愛感情も、ここで初めて認識したようです。

フランス映画らしくベッドシーンも結構ありますが、現実のソレはアイナス・ドゥムースティエが少女体型なせいか、全くエロティックではありません。
逆にクレールの妄想、男同士ダヴィッドとジルのシーンがエロいです。
このあたりはオゾン監督ならではというか、ちゃんといやらしく撮れてて、さすがだなぁと感心(笑)

ヴィルジニアとクレールが夜遊びに行った先、ドラッグクイーンがショウで歌うシャンソンが印象的です


Nicole Croisille Une femme avec toi

↑ 「男と女」のあの「ダバダバダ〜♪」(フランシス・レイ作曲)も歌っているニコール・クロワジールです ♪

この歌詞に共感する人達が集う、その場所・その瞬間は二人にとっても特別なモノだっただろうし、見ているこちら側にもそんな「何か」が伝わってきます。
この曲は後にクレールによっても歌われますが、こういう音楽の使い方がホント、上手いと思います。

個人的には女装でも男装でも、好きな相手が男性でも女性でも、またはどちらでもなくても良いと思うのですが、便宜上、性別で区切りたがるのが今の社会。
本音で生きていく方が楽しいのに、それをなかなか実践するのが困難な世の中だからこそ、こういう作品が生まれるんでしょうね。

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

 

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