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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「八月の鯨」 〜永遠のドレス〜

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第三回 新・午前十時の映画祭公式サイト:http://asa10.eiga.com/

監督:リンゼイ・アンダーソン    
製作:キャロリン・ファイファー/マイク・カプラン
脚本:デヴィッド・ベリー    
撮影:マイク・ファッシュ    
音楽:アラン・ブライス
(1987年 アメリカ製作 91分)
原題:THE WHALES OF AUGUST

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
メイン州の小さな島にある別荘で、毎年夏を過ごす老姉妹リビー(ベティ・デイヴィス)とセーラ(リリアン・ギッシュ)。
かつて島の入り江は8月になると鯨が現われ、少女だったころの二人は鯨を見に行くのが楽しみだった。
(映画紹介サイトより転記させていただきました)

この映画、もしかして劇場で見るのは初めてかもしれません。
初めて見た時、一番印象に残った事だけは鮮明に覚えているのですが。
それは、別荘で過ごすセーラがお客様を迎える為に念入りにドレスアップしたという事。

当時の私は、それほど世間知らずな若造だったということです。
(今も世間知らずですが、ちょっとはマシになったと思いたい)
一日の中でTPOに合わせ服を着替えるという習慣も知らず、年をとってもお洒落に着飾る心を忘れない人達を、想像すらしていなかったのです。

ちょっとした事に胸をときめかせたり、新たなことを始めたり、そんな事は若者の専売特許だと思ってたのかもしれません。
やがて自分も年を取るのにねぇ。
あぁ! 愚かしい、過去の自分

今見ても、女性達のファッションはエレガントです。
亡命貴族マラノフ役ヴィンセント・プライスも、とても素敵。
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特に、ディナーの為のセーラの装いが大好きなのです。
胸元のペンダントとブレスレットの淡い色調が、なんとも可愛い。
しかし、夫との結婚記念日を祝う為にセーラが着替えたドレス(この日2回目のお着替え)は素晴らしく奇麗ですが、一人ではとても着られそうにないデザインだったのは、ご愛嬌でしょうか。
首から背中にかけてのあの細かいくるみボタンに、ご老人の手が届くとは思えない(笑)

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普段着のワンピース+カーディガンも、色の組み合わせが各女優さんにピッタリ。
リビーは「ブルーが好き」だと言っていましたが、ストライプのシャツドレスはキャサリン・ヘップバーン風で、颯爽としていて素敵です。

私事ですが一時、1950〜60年代のアメリカの古着にはまってた時期がありまして、ここで姉妹が着ているワンピース・ドレスは涎ものなのです。
前回「ボヴァリー夫人とパン屋」でもそうでしたが、そこに登場するのは私にとって永遠の憧れのドレスなんだと思います。

もちろん衣装だけが良いわけじゃなく、それを着こなす女優さんが素晴らしい。

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ベティ・デイビスは何と言っても心理サスペンス「何がジェーンに起ったか?」(1962)の演技がすごすぎて、他のイメージが吹っ飛んじゃってますが、この映画のリビーは刺々しい態度の中にも相反する可愛いらしさがあって、彼女にピッタリだと思います。

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リリアン・ギッシュは登場シーンからしてもう、愛らしくて

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何度見ても「散り行く花」(1919年)の面影そのままなのに、いたく感動してしまうのです。

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「月が波間に銀貨をばらまいている」なんて詩的な表現も、素敵です〜
ミスター・マラノフは “girls” とご婦人達を呼んでいましたね。

庭の花を摘み、部屋に飾る。
朝、故人の写真に挨拶をする。
八月に訪れる鯨を見るために、大きな窓をつくる。
そんな一つ一つがセーラにとって大事な事なんだな〜とスッと胸に入ってくるのは、リリアン・ギッシュが演じるせいなのかも。
主演二人あってこその映画だと思います。

私達は一秒一秒確実に死に向かっているのだから、豊かな気持ちで毎日を過ごしたいーそんな気持ちを思い出させてくれる作品です。

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大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞

 

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