ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「奇跡のひと マリーとマルグリット」 〜五感が刺激される〜

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公式サイト:http://www.kiseki-movie.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:ジャン=ピエール・アメリス
脚本:フィリップ・ブラスバン
音楽:ソニア・ヴィーダー=アセルトン
撮影:アン・スリオ
美術:フランク・シュワルツ
衣装:ダニエル・コラン=リナール
プロデューサー:ソフィー・ルヴィル
(2014年 フランス制作 94分)
原題:MARIE'S STORY

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
ある日、ラルネイ聖母学院に目が見えず、耳も不自由な少女マリー(アリアナ・リヴォワール)がやってきた。
生まれて以来14年間、しつけも教育も一切受けずまるで野生動物のように獰猛なマリーが放つ、強い魂の輝きに惹かれた修道女マルグリット(イザベル・カレ)は、自ら彼女の教育係となる。
そしてふたりのむき出しの魂がぶつかり合う「戦い」とも呼ぶべき教育が始まった。
(公式サイトより転記させていただきました)

この世で私達が与えられている多くの恵みに想いを馳せる、そんな映画でした。
それが偶然なのか、大きな目に見えない存在からの恵みなのかはわからないとしても、それらに感謝の気持を感じずにはいられないというか。

冒頭、太陽に向かい手を広げるマリーの感覚を無意識に想像していました。
暗闇の中で陽の光をかすかに感じているのか、またはその温かさに手を伸ばそうとしているのか。
そんな風に見るうち、こちらの五感も鋭くなっていくようです。

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畑で野菜を確かめるマリーは、それらひとつひとつを愛おしんでいるようで、幸福感にあふれています。
私は今まで、スベスベしたトマトの肌ざわりに注目した事があったかな?
普段は、色が綺麗だとか目に見える情報ばかり優先してる自分に気付かされます。

この映画は、修道院の手入れされた庭と畑、鳥のさえずり、マルグリットと少女が旅する田舎の景色といった目や耳からうける刺激が素敵。
と同時に、マルグリットが寝た牛小屋のわらのチクチクした感触や日なたの匂い、牛のからだのザラザラとした温かさといった感覚に対し、激しく想像力をかき立てられるのです。

ヘレン・ケラーのように、見る・聞く・話す事ができない少女を教育する薄命のシスターの話、しかも実話が元になっている。
そんな予備知識からの予想よりもかなり軽やかなタッチで描かれていて、時にはコミカルでさえあります。

マリーが父親を頼り切って甘える様子から、親密な親子関係が伝わってきて微笑ましい。

ラスト、マリーがマルグリットの墓前で(天に向かい)これからの決意を語るシーンには晴れ晴れとした気持ちにさせられ、足取り軽く劇場を後にする事ができました。

 

マリーを演じるのは、自身も聴覚に障害を持ちこの映画で女優デビューを果たしたアリアナ・リヴォワール
シスターのマルグリットは「ムースの隠遁」のイザベル・カレ

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

この映画は私が鑑賞した劇場も含め、吹替版+ガイダンス音声のバリアフリー版を上映しているよう所もあるようです。

 

奇跡のひと マリーとマルグリット [DVD]

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