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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「イミテーション・ゲーム」 〜チューリングに思いを馳せる〜

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邦題は「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

公式サイト:http://imitationgame.gaga.ne.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:モルテン・ティルドゥム
原作:アンドリュー・ホッジス
脚本・製作総指揮:グレアム・ムーア
撮影監督:オスカル・ファウラ
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ
プロダクションデザイン:マリア・ジャーコヴィク
衣装デザイン:サミー・シェルドン・ディファー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
(2014年 アメリカ/イギリス制作 115分)
原題:THE IMITATION GAME

※ネタバレを含みます。結末に触れていますのでご注意ください!

【ストーリー】
1939年、イギリスがヒトラー率いるドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が開幕。
天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、英国政府の機密作戦に参加し、ドイツ軍の誇る暗号エニグマ解読に挑むことになる。
エニグマが“世界最強”と言われる理由は、その組み合わせの数にあった。
暗号のパターン数は、10人の人間が1日24時間働き続けても、全組合せを調べ終わるまでに2000万年かかるというのだ!
(公式サイトより転記させていただきました)

今年のアカデミー賞脚色賞を受賞したグレアム・ムーア。
彼の素晴しいスピーチを思い出させるような 胸熱 の映画でした。

原作はアンドリュー・ホッジス版

エニグマ アラン・チューリング伝 上

エニグマ アラン・チューリング伝 上

  • 作者: アンドルーホッジス,Andrew Hodges,土屋俊,土屋希和子
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

↓ こちらは去年図書館で借りたんですが、読み出すとすぐ眠くなって(笑)読破できませんでした。。。。

チューリング

チューリング

 

映画がすごく良かったんで、もう一度挑戦しようと思います。

あのミック・ジャガーが製作した「エニグマ」(2003年)という映画があります。

エニグマ [DVD]

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ロバート・ハリスのベストセラー『暗号機エニグマへの挑戦』を映画化したもの。
ほぼフィクションでチューリングも登場しません。
ブレッチリー・パークの暗号解読センターの存在や「カティンの森事件」といわれるソ連軍によるポーランド人将校虐殺などの史実と、ミステリー&恋愛のフィクションの部分がごちゃ混ぜになっていて、ややこしいのです。
ちょっと太めのケイト・ウィンスレットはコミカルで良かったけど。

一方、今作は人間関係の描き方に多少の誇張はあるでしょうが、大まかには事実に基づいていると思われます。
そして、情報戦争の映画というよりも、マイノリティの映画です。
エニグマ解読の成功がどれだけ重大な事だったのか、そんな事よりもアラン・チューリングという人間を描きたかったんじゃないかなと感じました。

1951年、チューリングが警察での尋問を受けようとしていたシーンから始まります。
映画は、この時代、戦時中のブレッチリー・パークの時代、チューリングの少年時代の3つがパラレルに描かれます。

冒頭から、ロリー・キニア(ノック刑事)とベネディクトの共演が嬉しい〜!
今回、ロリーは話のわかる良い人の役なんだなぁ。
キャスティングが豪華!です、この映画。
でも、マーク・ストロング(Mi-6のミンギス)とチャールズ・ダンス(デニストン)の見た目が似ていて、最初ややこしかったのは私だけですか?

チューリングは自分のことを「数学で世界一」と平然と言いきってしまう。
その変人ぶりがユーモラスに描かれているので、シリアスな題材なのに結構笑えるシーンもあるのです。

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ソシオパス的な人物像という点ではシャーロックと共通するんですが、もっとナヨッとした一種の気持ち悪さがあります。
それが、だんだんキモ可愛く見えてくる(笑)

仲良くなったジョーン(キーラ・ナイトレイ)から「皆に好かれた方が良い」とアドバイスを受け、リンゴを配ったりジョークを言ってみたり、「ジョーンに言われたから」と正直に言っちゃう所なんか、素直で可愛いし。

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プロポーズ! こんな長い顔なのに、なぜか子犬のような可愛さが(笑)

このジョーンとの関係性がなんとも言えずに良い!(フィクションだとしても)
セクシャルな関係はなくても、人間として理解・尊敬し合える相手との絆があれば困難な人生もかなり生きやすくなると思うから。
「あなたが普通じゃないから、世界はこんなに素晴しい」なんて、ジーンときます。
このあたりは、グレアム・ムーアだから書けたセリフかもしれません。

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エニグマによる暗号の解読に成功しても、すぐに敵の攻撃を回避する訳にはいかないのですよね。
そういえば、シャーロックのS2E1「ベルグレーヴィアの醜聞」でも、第二次世界大戦中のコヴェントリーの話が出てきてたのを思い出しました。

戦争の英雄とされてもおかしくないチューリングですが、その性的嗜好のために逮捕されてしまいます。
また、暗号解読の事実は1970年代まで明かされませんでした。
現在でも、アフリカやアラブ、アジアでもイスラム教の国などでは同性愛は違法なようですね。。。

この映画を見る前は、チューリングという人に親しみを感じるとは全く想像してなかったのですが、ベネディクトが息を吹き込んだこのキャラクターに思いの外魅せられてしまいました。
なんか、役者ってすごいね〜。

結論から言うと、映画の中のチューリングに心寄り添えるかどうかだと思います。
パブリックスクールでただ一人自分を受け入れてくれたクリストファーを心の支えにしていた、そんな彼の感情が溢れ出すラストシーンには涙してしまった私です。
キーラやロリーとの共演シーンも、また劇場で見たいと思います。

TOHOシネマズ 梅田にて鑑賞。

 

チューリング再び(3月17日)

休みを利用して朝から再鑑賞
改めてみても、面白い。そして哀しさで胸が一杯になる。

1951年のマンチェスター、何故この男は警察の取り調べを受けているのか?
ミステリアスな出だし。
チューリングの人生が、彼自身の語りにより明らかにされていきます。
冒頭から、ベネディクトの深い声が存分に聞けますね、うん。

この構成からして上手い〜  何があったの? という気持ちから、チューリングの語るストーリーを「ちゃんと聴こう」と見る者に感じさせます。(たぶん、ノック刑事も同じ)

アラン・チューリングに関して、私たちは伝記を読む事はできます。
が、今回映画を見て感じたこの感情は、ソレを読んだときとはかなり異なります。
そこにはフィクションの世界ならではの脚色があるからです。
例えば、ジョーンがあんなに奇麗な女性だったかは疑問だし、映像の中で交わされる会話は愉快だったり切なかったりしますが、それらも全てセリフなのです。

こういった「事実を面白く色づけして映画にする」作業が施された結果、今日映画を見た私は、またもチューリングという人物に思いを馳せているわけです。
やっぱり、グレアム・ムーアの脚色が良いんですね。もちろん、役者も。
アレクサンドル・デスプラの音楽も、せつなさに拍車をかける〜
そして、映画という媒体の力を感じます。

「イミテーション・ゲーム」オリジナル・サウンドトラック