ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

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公式サイト:http://www.cetera.co.jp/treasure/index.html
※音声が出ますのでご注意ください

監督・編集・録音・プロデューサー:フレデリック・ワイズマン
撮影:ジョン・デイヴィー
サウンドミックス:エマニュエル・クロゼット
色彩調整:ジャイルス・ガルニエ
プロデューサー:ピエール=オリヴィエ・バルデ
アシスタントエディター:ナタリー・ヴィグネレ  
(2014年 アメリカ/フランス制作 181分)
原題:NATIONAL GALLERY

※ネタバレを含みます

「パリ・オペラ座のすべて」(2009年)などドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマンの最新作。
ワイズマンが30年もの間、いつか撮影したいと切望し続けたという英国の国立美術館、ナショナル・ギャラリーが舞台のドキュメンタリー

何とも贅沢な時間を過ごすことができました。
美術館が好きな人や美術館がもつ雰囲気が好きな人には、その世界にどっぷり浸れる幸せな3時間です。

説明のナレーションや音楽はなく、美術館で繰り広げられるさまざまな活動が、特に脈略ない感じで映し出されます。
学芸員による館内のガイドツアーやスライド付講演会。
スケッチ教室や、視覚障害者の方がモコモコした線に触れる事で絵画を感じるイベントなど。
裏方でもある清掃スタッフや、美術品の修復作業、額縁の制作など。
また、館長をはじめPRスタッフ達が意見の相違に火花を散らす会議の様子も面白い。

絵画をどんな風に捉えるか、そのヒントを与えてくれるような学芸員達の熱いトークが、特に印象的でした。
結局は「その絵画とどんな関係性を作るのか」という事につきるのかも。
それって、映画を見る行為と同じですね。絵画も映画もそういう点では同じなんだと思います。

過去にメトロポリタンやルーブルを特集した(N○Kの)TV番組がありましたが、なんだかあまり面白くなかった記憶があるのです。
なぜなのかと考えてみると、それらは単に美術館や美術品に関するガイド番組でしかなかったからなのかもしれません。
それとは対照的に「今の美術館を支えている人達」と「それらを楽しんでいる人達」を感じる事ができるこの映画は、自分をそこに投影することができて魅力的なのかな。

それにしても、ナショナルギャラリーや大英博物館、こういう施設が無料で利用できるのは素晴しいことですね。
アートを楽しむ事に関して誰にでも門戸を開いている、そんな文化がとてもうらやましい〜

私事ですが6月にロンドンに行く計画があるので、見逃したくない映画でした。
3時間超えの作品ですからなかなか見に行けなかったのですが、やっとこさ!
梅田のリーブルでも3月9日迄の上映なので、見る予定の方は急いでください〜

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。