ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して」

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公式サイト:http://kokoronokakera.com/index.html
※音声が出ますのでご注意ください

監督:アルノー・デプレシャン
脚本:ケント・ジョーンズ / ジュリー・ペール
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
音楽:ハワード・ショア
(2013年 フランス制作 117分)
原題:JIMMY P.

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
アメリカ、モンタナ州に暮らすアメリカ・インディアンのジミー(ベニチオ・デル・トロ)は、第二次世界大戦からの帰還後、原因不明のさまざまな症状に悩まされカンザス州の軍病院に入院する。
そこで精神分析医のジョルジュ(マチュー・アマルリック)と出会う。
 (公式サイトより転記させていただきました)

“人の心の複雑さ”
デプレシャンの作品を見ると、いつもそこにいきつく気がする。
私自身はちょっと消化不良、もうちょい反芻したい映画

原作はフランスの民族精神医学の権威ジョルジュ・ドゥブルーの著作「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」
夢分析と聞くとフロイトやユングを連想しますが、ここでの分析方法はフロイトの流れをくむものだったらしい。

大戦で頭蓋骨を骨折したジミーは、ひどい頭痛や目のちらつき(星が飛んでたね)などで悩まされ、検査を受けますが体に異常は見られない。
原因がわからない軍の病院は、先住民に詳しいジョルジュに仕事を依頼します。

ジョルジュは医者ではなくカウンセターの資格を持つ民族学者。
精神分析医としての経験はあまりないようで、この原住民の患者を診察できる喜びや彼を治そうと意欲に溢れている感じが、とてもイイのです。
マチューがいつも以上に目をグリグリ、ギョロギョロさせています(笑)

毎日1時間の診療が始まりしばらくして、風邪をひいたジョルジュはやむなく治療を休みます。
最初は治療に懐疑的だったジミーですが、診療がないとわかった時のがっかりした表情に、彼の気持ちの変化が見てとれます。

ジミーの症状は戦争体験による後遺症かと思われていましたが、むしろ彼の家庭環境や女性達との関係が大きな要因では?とジュルジュは考え始めます。
そして、ジミーは心の奥にしまいこんだ感情を少しずつ解放していくのです。

一方、ジョルジュ自身にもこの診療が大きな分岐点になったのがわかります。
彼との会話から受ける刺激やそこから築いた関係などから、進むべき道が見えた自信のようなものがうかがえました。

それにしても、最後の検査が行われる前の「その検査で死んだ人は一人もいない」というあの会話は何だったんでしょう?
その後の検査のシーンも結構長かったし、無事に終わるのか?と無駄にドキドキしてしまったじゃないですか。
正直、意図がわかりません。

ジョルジュの恋人マドレーヌが、はるばるフランスから彼を訪ねてきます。
ずっとは一緒にはいられないからこそ多くのモノを相手に求めない、そんな二人の関係が素敵です。

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ジーナ・マッキーがこういうイイ女の役を演じていると、個人的にはな〜んかくすぐったいんですけどね。

デプレシャンの次回作は『そして僕は恋をする』の続編みたいです。

テアトル梅田 にて鑑賞。