ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

2014年を振り返る-2 〜英ドラマ&俳優〜

お正月気分もそろそろ終わりです。昨年のドラマを振り返ってみます。

ネタバレも含みますので、ご注意くださいませ。

昨年の今頃は“SHERLOCK”Series3(S3)がBBCで放送され、パソコンにかじりつき必死に見ていたのを思い出します。楽しかった〜。
で、2014年一番面白かったと思うドラマは「SHERLOCK S3」です。

ちょっとサービス過剰のきらいはあるような気がしますが、シリーズを重ねる毎に面白さが増してるのでは?
主要メンバーのキャラ立ちが半端ないのですが、そこにも少しずつ変化(成長)があるので、愛着を感じつつ変化も楽しむという感じ。
一つ間違うとおバカなコメディに傾きそうな、第一話のあやういバランス感覚も好きだったし、とにかく笑いの要素が多いのが個人的には好みです。

新米刑事モース~オックスフォード事件簿~」(Endeavour)は新エピソードも見応えあったし、モース(ショーン・エヴァンス)のちょっと繊細な感じがイイ! この主人公には(後の「モース警部」の時代よりも)心寄り添いやすいというのが特徴だと思います。
WOWOWさんは、この先日本語字幕版を放送する予定ないのかな〜? 日本版のDVDが早く出ると良いのですが。

とはいえ、“SHERLOCK”や“Endeavour”はしょっちゅう見るドラマじゃないので、普段は影が薄い。
去年一番よく見ていたのはAXNミステリーで放送されたドラマです。

中でも「オックスフォードミステリー ルイス警部」(Lewis)と「刑事フォイル」(Foyle’s War)は、再放送も含め放送回数が多くてよく見ていました。
ルイスは過去記事でも取り上げているので省きますが、「刑事フォイル」はその質の高さからいって一番のお勧めかも。

国のためという大義名分の下、時として起こる理不尽な出来事に、正義感と法を守るという信念に基づいて対峙するフォイル(マイケル・キッチン)はカッコいい! 権力に屈しない、ぶれないんですよー。
第二次大戦下という社会背景がドラマに暗い影を落としていますが、そうドンヨリしているわけでもありません。
フォイルのおだやかな人柄、実直な部下ミルナーや、ちょっとおきゃんなドライバーのサムなど、主要キャラクターのおかげかな。
重い物語ではあるので、お気楽に見るというよりは真剣に見るドラマだとは思います。

逆に、アイロンがけとか何かの用事をしながらでもお気楽に見られるドラマもあります。
トム・バーナビー(ジョン・ネトルズ)からジョン・バーナビー(ニール・ダッジェオン)へとバドンタッチされた「もう一人のバーナビー」(Midsomer Murders)
こちらはコメディ色が強くなりました。加えて、バーナビーの愛犬サイクスが可愛いくて演技も上手い。
犬を使うなんてずるいよな〜と思いつつ、つい見てしまいます。
残念なのは、大好きなベン・ジョーンズ(ジェイソン・ヒューズ)の出演が終了してしまった事。後任のネルソン、頑張れ!

笑えるバーナビーと対照的なのが「ウィッチャーの事件簿」(The Suspicions of Mr Whicher)です。
ウィッチャー(パディ・コンシダイン)の過去も含め、ドンヨリとした雰囲気の中、物語は展開します。
同じような時代背景の「リッパー・ストリート」(Ripper Street)よりも、こっちの方が個人的には好みです。出演俳優も地味ですが、重みがあるというか。
「リッパー〜」は若干ドロドロしすぎというか、見ていてしんどい。
ドレイク部長刑事なんか、不幸のどん底ですやん! 正直、疲れます。

さて、ミステリードラマ以外で昨年一番の収穫は「ブライズヘッドふたたび」(Brideshead Revisited)です。

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グラナダ・テレビ制作(1981年)のドラマで、2008年に同じ原作から作られた映画(マシュー・グード主演)とはまるで別モノのよう。
細部にわたるまで行き届いた「美」を感じさせるような、その空気感が素晴しいのです。
イーヴリン・ウォーの小説に忠実なのは、おそらくこのドラマの方なんでしょうね。
このドラマについては後々感想をまとめたいと思いますので、今回は詳しく書きません。
若かりし頃のジェレミー・アイアンズが主演で、晩年のローレンス・オリヴィエも出演しています。

ブライズヘッドが放送されていたのはイマジカの「itvコレクション」という枠ですが、同枠では1月から「ボーンキッカーズ」「モール・フランダース」「ジャクソン・ブロディ」が新たに放送されます。
「モール・フランダース」は初めて見るんですけど、1996年の作品で第2話にはダニエル・クレイグも出演しているよう。ちょっと楽しみ

この枠で昨年放送されていた「セルフリッジ」は確かに面白いけど、下世話なテイストが苦手な人はダメかも。
そういう点では「ダウントン・アビー」に似ていると思います。

ダウントン・アビー S3」はSTARチャンネルで12月にまとめて見たのですが、この手の“続きがきになる”というドラマは一挙に見るのがいいですね。
わざと不幸な事が起こるような展開に反発を感じつつも、S3ともなると登場人物にも愛着を感じます。
なかでも先代伯爵夫人(マギー・スミス)のキャラクターはお気に入りです。彼女の言う皮肉が面白くて!

でも、S3の終わり方には少なからずショックを受けました。マシューがあんな事になるなんて。。。。次シリーズへ興味を持続させるためなのか? これならいっそS2で終わってた方が良かったんじゃ?
などと思いつつ、今年の年末もS4の一挙放送があったら確実に見ますけど(笑)

同じくSTARチャンネルの一挙放送で見た「TRUE DETECTIVE」は、主演キャストも含めなかなか魅せるドラマです。
かなりグロテスクなので、そこだけは注意が必要。クライムサスペンスの割には意外に後味は悪くありません。
去年はこのドラマも含め、マシュー・マコノヘイが大活躍でしたね。

30代位までのマシューはマッチョ&グッドルッキンな感じで、全く興味の持てない俳優でした。
すみません、過小評価してましたね。今は見る目が変わりました。ちょっと枯れた感じが出てきたのにも好感が持てます。
ペーパーボーイ 真夏の引力」「マジック・マイク」「MUD -マッド-」「ダラス・バイヤーズクラブ」「インターステラー」と、出演映画を目にする事が多かったのですが、中でもこの「TRUE DETECTIVE」というドラマの演技には惹き付けられます。

もう一人、すごく好きだったのは「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャレッド・レトレイヨン役)です。
改めて彼の過去出演作品を見直したい気持ちになってます。

こんな風に、俳優その人というよりも役の個性に惹かれますが、そんな役を作り上げる事ができる俳優さん自体も素晴しい訳で。過去出演作を見たいとまたドラマや映画を見る、なんて事が延々と続いていくのです。

そして、英ドラマを見るのに費やす時間は増加の一途をたどっている気がします。
この膨大な時間を自己啓発的な事に使えば、、、なんてチラッと思ったりもしますが、これだけはやめられません。


蛇足ですが「ブレイキングバッド」の最終シリーズ、これは見なくてよかったなと個人的には感じました。
最初は面白かったものの、シーズンが進むとともにウォルター(ブライアン・クランストン)の執着心が全く理解できなくなります。
いくらなんでも極悪非道すぎて、見るのがちょっと苦痛なくらいです。
何かの感覚がマヒしてしまうような感覚に教われ、ヘタレな人間には向かないドラマですね。