ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「リスボンに誘われて」 〜旅へのいざない〜

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公式サイト:http://lisbon-movie.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:ビレ・アウグスト
原作:パスカル・メルシエ
(2012年 ドイツ/スイス/ポルトガル製作 111分)
原題:NIGHT TRAIN TO LISBON

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
スイス・ベルンの高校で、古典文献学を教える
ライムント・グレゴリウス(ジェレミー・アイアンズ)は、
学校へ向かう途中、吊り橋から
飛び降りようとした女性を助ける。
その後、姿を消した彼女が残した一冊の本には
リスボン行夜行列車の切符が挟まれていた。

原作は、ドイツでベストセラーになり、
世界31か国で刊行されたパスカル・メルシエの
リスボンへの夜行列車」(2004年)

リスボンへの夜行列車

リスボンへの夜行列車

 

ライムントは、自殺しようとした女性が
残していった本の世界に引込まれていきます。
おまけに、本の中の世界リスボン行の切符が
挟まれているなんて、もうそこに行くしかないでしょ!

フィクションだからあり得る、出来過ぎの状況と
言えばそれまでですが、このシチュエーションには
ワクワクします。

ふとしたきっかけで出逢った本に、
自分の考えていた事がそのまま書かれていたら、
おそらく書き手の事を知りたくなるでしょうね。
「まるで自分の事が書かれているようだ」という
感覚にとらわれた事は、10代の頃にはあったかも
しれませんが、最近ではなかなか(汗)

本能のようなものに突き動かされ
仕事も放り出して、突然の旅に出る
そんなライムントの小さな冒険には
誰しも憧れを持つのではないでしょうか。

彼は、本の書き手アマデウ・デ・プラドと
関わりのあった人達を訪ね、彼の人生を
ひも解いていきます。
アマデウだけではなく、彼と関わった人達も
時代に翻弄され、人生に苦悩しています。

アマデウのかつての同士ジョアンの
現在の(老人ホームでの)のキャラクターは、
頑固でかつ茶目っ気があって私のお気に入りです。
演じるトム・コートネイさんは、作品毎に
役になりきってイメージが異なります。
こういう人を性格俳優というのでしょうか。

その他にも、ブルーノ・ガンツ(現在のジョルジェ)
クリストファー・リー(神父)
シャーロット・ランプリング(アドリアーナ
エステファニア(メラニー・ロラン
マリアナマルティナ・ゲデック)などなど
とにかく俳優陣営が豪華で、安定してます。

難を言えば、アマデウ役が好みの俳優さんだと
もっとこの過去のパートに魅力を感じたのになぁと
思ったりします。ジャック・ヒューストンは
良い俳優さんだと思いますが、個人的に
全くカリスマ性を感じないので、すみません(笑)

なんだか旅に出たくなる映画です。が、それ以上に
その世界に深く入っていけるような、そんな
本に出逢いたくなる映画です。

そうそう、主演のジェレミー・アイアンズ
若かりし頃主演したドラマ「ブライズヘッドふたたび」
(1981年 英)が、来月シネフィルイマジカで
放送されるようですよ〜。 ↓ 原作はこちら

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

 

以前、マシュー・グッド主演の映画版(2008年)は
見たのですが、ジェレミー版は未見なので楽しみです!


シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。