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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」〜沈黙は金、雄弁は銀〜

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公式サイト:http://www.ooinaru-chinmoku.jp/

監督・脚本・撮影・編集:フィリップ・グレーニング
製作:フィリップ・グレーニング、ミヒャエル・ウェバー、
   アンドレス・フェフリ、エルダ・ギディネッティ
共同製作:フランク・エーヴァース
エクゼクティブ・プロデューサー:イェルク・シュルツェ、
   フィリップ・グレーニング
オリジナルサウンド:フィリップ・グレーニング
ナルサウンド:ミヒャエル・ブッシュ
(2005年 フランス/スイス/ドイツ 169分)
原題:INTO GREAT SILENCE

※ネタバレを含みます

【作品情報】
カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるカルトジオ会の
男子修道院、グランド・シャルトルーズ修道院。
ドイツ人監督、フィリップ・グレーニングが6カ月間
ここで暮らし、あるがままを映したドキュメンタリー。

慌ただしい日常から離れ、異なる世界に身をおく歓び。
“身をおく”なんて言うとおおげさなのですが、
映画の醍醐味ってそういう感覚にどっぶりと浸かる
事ですよね。

3時間弱の映画、しかもそのタイトルどおり
“大いなる沈黙”の世界ですが、どこか張り詰めたような
空気とかすかな緊張感のせいか、意識を失う事も無く
映像に見入っている間に映画が終わっていました。
今、思い返してみても不思議な映画です。

この修道院の修道士たちは、礼拝堂でのミサの時間以外は
食事も含め1日の大半を、自分の部屋で過ごします。
俗世界と距離を置くのはもちろん、人との繫がりも最小限で
神との関係性に重きを置いた生活なのですねー。

普段は私語が禁止されている彼らは週に一度、
日曜日のウォーキングの間だけ会話をはずませています。
春の陽光の中交わされる和やかな会話や、
雪の積もった丘の斜面をソリですべる修道士達の
無邪気な様子が、とても微笑ましいのです。

監督が「静寂を探究する旅」と表現した
この映画の撮影は、撮り手の存在を意識させない
モノでしたが、ここだけは違ったのが、
各修道士のバストショットを映した映像です。
カメラに対して照れてみたり、視線を外したり、
穏やかにたたずんでいたりと、それぞれの反応が
個性や人間性を表しているようで
とても興味深いものでした。

フランスアルプス山脈に建つ修道院の一日と
季節の移り変わりを遠景から撮った映像が
美しいのはもちろん、普段意識していない
例えば雨粒などといった映像の一つ一つが
とても創造性に溢れているように感じられます。

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ライトを使わない、自然光だけで撮影された
映像が創造的に見えるというのは、
考えてみれば当たり前なのかもしれません。
全ては神の創造物だと前提に立ってみれば。

歴史ある修道院から感じられる、“清貧”
“強い信仰心”や“厳しい戒律”などという
イメージのせいなのか、その自給自足の
生活には、一般人の何かを惹き付ける
モノがあるのだと思います。
今回見に行った日も、平日にも関わらず
たくさんの人が訪れていて、意外でした。
マイナーな映画じゃなかったのか?!

アルジェリアのアトラス修道院の悲劇を描いた映画
「神々と男たち」に登場する修道士達を思い出し、
またあの映画を見たくなりました。

第七藝術劇場 にて鑑賞。