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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「大いなる幻影」誠実さを持ち続ける人達

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「“戦争の世紀”戦争映画特集」:http://www.cinenouveau.com/sakuhin/sensou/sensou.htm

監督・脚本:ジャン・ルノワール
脚本:シャルル・スパーク
撮影:クリスチャン・マトラ、クロード・ルノワール
美術:ルリエ
音楽:ジョゼフ・コスマ
(1937年 フランス制作 114分)
原題:LA GRANDE ILLUSION

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
第一次世界大戦中、マレシャル中尉(ジャン・ギャバン)と
ボアルデュ大尉(ピエール・フレネー)が乗るフランス軍の
飛行機が、ドイツ軍に撃墜され二人は捕虜となる。
収容所に集うフランス人捕虜達は、脱走する為の計画をあ
立てるのだが。。。
ジャン・ルノワールの名前を世に知らしめた作品。

誇り高き男達が登場する、反戦映画

戦争映画ですが、戦いのシーンなどはなく
ドイツ軍の捕虜となったフランス軍兵士達の
脱走を中心とした物語。

とはいえ、あの「大脱走」“The Great Escape”(1963年)
のように、手に汗にぎるような緊張感と娯楽性の高い
映画とは、かなりテイストが違います。

「大脱走」が捕虜になりつつも戦いを挑み続ける
男達の物語だとすれば、
こちらの映画は、戦時下という状況においても
人としての尊厳を失わない男達の話です。

中でも、貴族出身のボアルデュ大尉とラウフェンシュタイン大尉
エリッヒ・フォン・シュトロハイム)の敵味方を越えた関係性は、
人の姿を見ない(遠隔操作によって攻撃するとか)現在の戦争では、
考えられないことかもしれません。
(ボアルデュ大尉役のピエール・フレネーは立ち居振る舞いが
ノーブルな役者さんですね)

一方、ジャン・ギャバンの良さはあまり活きてなかった気がして、
個人的には、同監督の「獣人」 (1938年)の方が良かったなぁ。

たとえ敵国の人間であっても人道に配慮した環境下に置く
というのは、その時代に生きていないのでわかりませんが
戦時下の日本では浸透していなかった考え方だったんじゃ
ないかなぁ〜となんとなく思います。ソ連軍は別としても、
西洋諸国では表向きには認知・実行されていたのでしょうか。
だからこそ、アメリカ軍によるイラク民間人に対する
拷問と殺人などは、ショッキングだったのかも。

「これが最後の戦争になれば」と言うマレシャルに対し、
ローゼンタールは「それは幻影だ」と言います。
確かに戦争の無い世の中になると言うのも幻影でしょうし、
それ以上に、ここに登場する人達のような存在、
騎士道精神を持ちお互いを尊ぶ人達が中心に成る世の中、
それこそが理想でもあり、タイトル通り“大いなる幻影
なのかもしれません。悲しいですが。

ジャン・ルノワールの良心に基づき、反戦を意識し、
彼の願いが込められつくられた映画だと感じました。
ちなみに、助監督はジャック・ベッケルなんですね。

シネ・ヌーヴォ にて鑑賞