読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「チョコレートドーナツ」こころ解き放つ時

映画 た行

f:id:YURURI:20140512222012j:plain

f:id:YURURI:20140512222013j:plain

http://www.bitters.co.jp/choco/

監督・脚本:トラヴィス・ファイン
脚本:ジョージ・アーサー・ブルーム
(2012年 アメリカ制作 97分)
原題:ANY DAY NOW

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらも
ショーダンサーで日銭を稼ぐルディ(アラン・カミング)。
正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる
弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)。
母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・
マルコ(アイザック・レイヴァ)。世界の片隅で3人は出会った。

やっぱり泣ける。。。でも、大人になっておおっぴらに泣けるのは
映画館と自宅にいる時くらいだから、泣いてもいいんです!

マイノリティの人達が社会の偏見と戦う物語にはいつも胸アツに
なってしまうのですが、それ以上にこの映画は音楽のパワーがすごい。
冒頭、フランス・ジョリの“カム・トゥ・ミー”に合わせ踊るルディも
チャーミングなんですが、ルディ役のアラン・カミング
自身の声で歌う、いくつかのシーンがとても印象的でどれもイイ。

アラン・カミングスコットランド出身で、俳優以外でも
多彩な才能を発揮されているよう。舞台『キャバレー』では
トニー賞他を受賞しています。
彼の声は重みがあるというか、ルディの魂の叫びのようなものが
伝わってくるパフォーマンスで、心震えます。

このルディという人物、実にチャーミングでした。
美人さんでなくても、段々可愛く見えてくるから不思議。
この偏見の強い時代にカム・アウトし、
人間としての尊厳をもって堂々と生きている、
そしてユーモアを忘れない、何より人を思いやる心を持っている
そんなルディはポールでなくても「惚れてまうやろーっ」(〃∇〃)
という愛すべき人物です。

人が人を大切に思い、何かをしてもらう為でなくただ手を差し伸べる、
そんな美しい行為がなぜ踏みにじられるのか! ( ✧Д✧) と、
少々鼻息が荒くなってしまう理不尽な展開で、ちょっと辛い。

ただ、家族の煌めく時間を表現するシーンは、繰り返さない方が
私の好みでした。これを繰り返す事で、どうしてもセンチメンタルな
色合いが濃くなってしまった気がするので。

1970年代のカリフォルニア州といえば、ゲイであることを
公表していたハーヴィー・ミルク(Harvey Milk)が
サンフランシスコ市の市会議員に当選したのが1977年。
しかしその翌年に、彼は同僚議員に射殺されています。

ドキュメンタリー映画『ハーヴェイ・ミルク』(1984年)や
映画『ミルク』(2008年)で見られるのと同様、この映画では
カリフォルニア州でさえも偏見に満ちた社会だったのが伺えます。
田舎に行けば、もっとエゲツナイ差別があるのは想像がつくけれど。

欧米のマッチョな男性の、ゲイの人達に対するここまで否定的な
態度はどこからくるのだろう?と考えてしまいます。
キリスト教の倫理観が関係しているんだろうなぁと想像できますが、
自分が男性から性的なターゲットにされる事に対する怖れと、
固執している“男性像”とが壊される事への恐怖心から
くるものなのかもと思ったり。女性は元々自身がマイノリティの
立場だったから、その点では柔軟性がある方だと思うのです。

そう言いつつ、気付かないうちに私自身の何かの偏見を
抱えてるのかも?と、ふと思う時もあります。
心の柔軟性をずっと持ち続けていたいと考えさせられました。

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。