ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「アデル、ブルーは熱い色」恋って狂おしいもの

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公式サイト:http://adele-blue.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:アブデラティフ・ケシシュ
脚本・編集:ガリーア・ラクロワ
原作:ジュリー・マロ
撮影監督:ソフィアン・エル・ファニ
(2013年 フランス制作 179分)
原題:LA VIE D'ADELE

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
運命の相手は、ひとめでわかる―。
アデル(アデル・エグザルコプロス)は、道ですれ違った
ブルーの髪の女(レア・セドゥ)に、一瞬で心奪われる。
偶然再会を果たしたエマは、画家を志す美学生。
アデルは身も心も一途に、エマにのめり込んで行く。
(公式サイトより転記させていただきました)

2013年カンヌ国際映画祭でのパルムドール<最高賞>、
本来は監督一人に授与されるこの賞が、
主演女優のアデル・エグザルコプロスとレア・セドゥにも
同時に贈られたという、何かと話題の作品。

ケシシュ監督と言えば「クスクス粒の秘密」(2007年)の
評判をあちこちで目にして気になっていたものの
縁がなくて見ることができずにいたのですが。。。。

軽くてお気楽な映画に流れがちな最近の私に、ガツン!と
忘れかけていたモノを思い出させてくれる作品でした。
ただの傍観者としてではなく、映画とちゃんとコミットした
そんな感覚があったのは久しぶりです。

映画の評価というのは、その作品の出来の善し悪しにも
関係するとは思いますが、結局は、その映画にどれだけ
かかわれたと感じるかによると思うのです。だからこそ、
人によって作品の評価が分かれるんじゃないでしょうか。

そういう意味で、この映画は私にとっては
忘れがたい一本になった事は間違いないのです。
そういえば、恋って胸がこんなにも苦しくなるものでしたよね!
そんな気持ち、遠いどこかに置き忘れてましたが(笑)

女性同士の恋愛物語ですが、そんな事は気にならないくらい
アデルの気持ちに乗っかって、映画に引込まれていきました。

あと、結構ベッドシーンが長くてしかもリアルなんですけど
女性同士のせいか、全くいやらしさを感じさせないんですよね。
同じ事ようなシーンがもし男女間のソレだったら、間違いなく
アダルト映画のカテゴリーにかかるという気もするのですが。
逆に考えると“恋愛対象が女性”という人が見るとそれなりに。。。
なのかもしれません (;^_^A

とにかくアデルがすごくイキイキしていて、
彼女の一挙一動から目が離せません。
朝の寝ぼけた感じとか、本能むき出しの食事の仕方とか。
スパゲディのトマトソースが、だらしなく口の周りについてたりして。
寝てる時にも口をあけてて、口呼吸?と心配になるのですが(笑)
ちょっとだけぽっちゃりさんで、手の指のところに
エクボができて可愛いです。

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そんな彼女も結構男性からモテるのですが、
付き合ってる相手に何故か夢中になれない、
そんな空しさを感じています。この感じすごく共感できるし、
彼女の心理描写が本当に、優れていると思います。
言葉じゃなく、視線や態度でビシバシ伝わってくるのです。

このボーイフレンドとの、セックスも含めた満たされない
関係性を丁寧に描くことで、後々アデルが本当の恋愛を体験する
日々の煌めきを、より輝かせて見せてくれます。

ゲイ・バーで再会したエマに急速に惹かれるアデルですが、
おフランスのような恋愛先進国でも、ゲイであることが
からかいや差別のネタにされるというのが悲しいなぁ。
アデル自身も、そんな自分をすぐには受け入れられないというか
堂々と宣言する事ができない所も、ごく普通の女の子という感じ。

そう、アデルはとんがってなくて、ごく普通の庶民の子なんですよね。
芸術家のエマとは育った環境が違うというのは、お互いの実家を
訪れるシーンに象徴されています。小学校教師という仕事は、一部の
恵まれた階級の人達から見るとあまり評価されていないようですね。
私は、創造性にあふれた職業という見方もできると思うのですが。

そんなこんなで、おフランスの事情もちょっと感じながらの
濃い179分でした。全く長くは感じませんでしたけど。
そういえば、映像で高校生がやたら飲酒・喫煙してたけど
フランスでは16歳以上はOKなんですね。
公共の場所でなければ、年齢制限は無いのかもしれませんが。
あとは自己責任でという事なのか、大人扱いされる年齢が早い。
さすが“自由”が重視されてるお国柄、という印象です。

ところどころ美しい映像が、今も脳裏に焼き付いています。

シネマート心斎橋 にて鑑賞。

 

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