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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」 〜モノクロームの魅力〜

映画 な行

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公式サイト:http://www.nebraska-movie.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:アレクサンダー・ペイン
アシスタントディレクター・製作総指揮:ジョージ・パーラ
製作総指揮:ジュリー・M・トンプソン
脚本:ボブ・ネルソン
撮影:フェドン・パパマイケル
編集:ケビン・テント
(2013 アメリカ製作 115分)
原題:NEBRASKA

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
デイビッド(ウィル・フォーテ)は警察からの電話で呼び出される。
父親ウディ(ブルース・ダーン)が高速道路を歩いていて、保護されたのだ。
母ケイト(ジューン・スキップ)によると、父が保護されたのは
これが最初ではないらしい。

人間の弱い部分、醜い部分、そして愛すべき部分が見え隠れして
たいした事は起きないのに、最後にはホロッとさせられる映画。

アバウト・シュミット」(2002)「サイドウェイ」 (2004)に
続く、アレクサンダー・ペイン監督によるロード・ムービー。
ファミリー・ツリー」 (2011) も良い映画だったけど、
今作のような地味な俳優による、じんわりとした味わいの映画が
やっぱり好みなんだなぁと感じました。

誰が見てもインチキだと判る100万ドルの賞金当選通知、
それを信じこむ頑固な父は、遠いネブラスカまで
歩いて賞金を受け取りに行くと言ってききません。
どうしてもあきらめない父親に対し、デイビッドは
一緒に目的地まで行き、詐欺だという事を納得させようとします。

100万ドルを当たったというニセの手紙、これだけの為に
モンタナ州の自宅→ワイオミング州サウスダコタ州ネブラスカ州の
リンカーンまで1,500キロの旅を、無口な父親とする。
私なら、絶対無理!の一言で終わってしまうのですが、
心優しいデイビッドは、父親に付き合ってあげるのです。

デイビットは音響機器を売る店で働いているのですが、
親戚には「店を経営している」と見栄をはってしまうような、
自分の生き方に納得できていない男性です。
同居していた彼女(この女性のあか抜けてない感がまた。。。笑)
にも出ていかれ、仕事も私生活もうまくいっていません。

兄のロス(ボブ・オデンカーク)はニュースキャスターとして成功に
近づきつつあるのですが、父親は老人ホームに入れてしまえばいいと考える
ドライなタイプです。ロス役はTVシリーズ「ブレイキング・バッド」の
弁護士ソウル役の人ですね。この人の胡散臭さが良い感じ(笑)

デイビットはこの兄に対して多少のコンプレックスを感じているようですが、
兄弟の仲は悪くない感じで、特に「空気圧縮機」を取り戻そうと
協力するシークエンスは最高! この顛末はぜひ映画を見て笑ってください。

大酒飲みの父親ウディの勝手な行動に、何かと振り回されるデイビッドです。
二人が旅の途中、伯父の家に寄るあたりからコメディ色が強くなって
ニヤニヤしっぱなしでした。

父のかつての共同経営者エド(ステイシー・キーチ)のずる賢い感じや、
太っちょな従兄弟達など、各キャラクターがたってて面白かったけど、
やっぱり一番は母ケイトでした。
墓地での、死者への冒涜なんて物ともしない言動や、
ハイエナのように賞金にたかってくる親戚たちへの一喝とか。
口うるさいけど、このオカンの辛口トークは癖になります。

デイビッドの、ウディについて知ろうとする気持ちが愛おしいですね。
彼があれこれ聞いても、無口な父親からは何も聞き出せないのですが、
父の元ガールフレンド(アンジェラ・マキューアン)から
若い頃、ウディが戦争に行っていた事を初めて知ります。

戦争から帰って、ウディのお酒の量が増えたことや、
優しくて人から頼まれると断れない性格であることなど。
少しずつ、ウディの過去が見えてきます。
ちなみに、監督はウディ役のブルース・ダーン
「痛ましいボロ雑巾みたいな感じでいてください」と演出したそうです。
そんなウディも、最後にはイキイキしてましたよね。

平凡な人にだって色々あるんだっていうこと。それをすくいとって
見せるのがペイン監督の得意とするところではないでしょうか。
殺風景な田舎町の風景と、モノクロの映像が良いです。
デイビッドを見ていると、チャーリー・ブラウンのおなじみのセリフ、
「やれやれ」(原文の“Good grief!”よりもこっちの方がより近い感じ)が
頭に浮かぶびます。いじめっ子?エドに一発お見舞いしてしまいましたけどね。

それにしても、兄と比べて弟を「それだからおまえは…」なんていう事、
絶対言っちゃダメですよ、お父さん!
そんな父親に対してデイビッドが優しすぎる。それがこの映画の欠点かも。

大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞。