ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ダラス・バイヤーズクラブ」 〜フロンティア・スピリット!〜

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公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/dallas/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:ジャン=マルク・ヴァレ
脚本:クレイグ・ボーテン/メリッサ・ウォーラック
(2011年 アメリカ製作 117分)
原題:THE DALLAS BUYERS CLUB

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
1985年、アメリカで最も保守的とされるテキサス州で、
HIV陽性により余命30日と宣告された男がいた。
男の名前はロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヘイ)。
同性愛者でもないのになぜ!?と怒りを周囲にぶつけるロン。
ジャイアンツ』『武器よさらば』などで知られる俳優ロック・ハドソン
実はゲイであり、エイズに冒されたという当時の報道は、
驚きと共に、ゲイ=エイズという盲目的な偏見に拍車をかけた。
自ら宣告を受けたロンの反応も同じだった。
そこから、政府や製薬会社を相手取り、生きるためのロンの闘いが始まる。
(公式サイトより転記させていただきました)


崖っぷちに追いつめられた主人公が全力で戦う、
見ていて勇気をもらえる映画。

演技派のアメリカンマッチョといえば、最近はこの人が目に浮かぶ
マシュー・マコノヘイですが、21キロも減量してヒョロヒョロの姿で
エイズ患者を演じています。あの筋肉はいずこへ〜?

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が、それ以上に誰だかわからない変化を遂げていたのはジャレット・レト。
というかこの人、役ごとに全く見た目が違うので、予備知識がなかったら
彼だとわからなかったと思います。こちらは18キロ減量らしいですが
体重の増減よりも、トランスジェンダーエイズ患者役がみごとに
はまっていて、とても女性らしいというか、愛らしいのです。

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物語を簡単に説明すると
享楽的でデタラメな人生を送っていたデキサス男のロンが
エイズだと診断され治療薬を求めるが、効果のある薬は
未承認で処方してもらえないと知る。そこで彼はメキシコへ渡り
アメリカでは未承認で効果の見込める薬を国内に持ち帰り、
自分と同じエイズ患者達にさばこうとする。
しかし、そこには製薬会社や政府という敵がたちはだかり。。。
という、一人の男の生きるための戦いのお話です。

いやーっ、こういう話に弱いんですよね。
弱者(立場的に)対、大きな組織(ここでは政府その他)という構図も、
最初は利己的なところから始った行いが、いつの間にか周りをも巻き込み
結果的に社会に大きな影響を与える事になる経緯とか。

ロンというヤツは、はっきりいって最悪のマッチョ(思考的に)野郎で、
同性愛者を忌み嫌ってるので、乱れた性生活を送っているのも関わらず
自分はエイズになるわけはないと思い込んでいるのです。
この時代のエイズに関する偏見はすごいですねー。ましてや保守的な
テキサスですから。

しかし、自分がエイズ患者かもしれないと思った時から、
ロンの情報収集が始ります。彼の人生の変化の時です。
トランスジェンダーレイヨンと組んでゲイ・コミュニティとの
繫がりを持つようになり、利己的な目的だった薬の売買という行為が
彼の中でそれ以上の意味を持つようになったのかもしれません。

ロンの現実を見極めながらも、闘争性に満ちあふれた行動を
見ていると、彼がエイズ患者だという事を忘れてしまいます。
いかにもアメリカ的というか、THE開拓者精神というか、
ヘタレの私なんかは、圧倒される世界で元気をもらえました。

映画の中で登場する具体的な薬の名前、これについては個人的に
調べていないので、その根拠、真偽についてはよくわかりません。
最近では、ガン細胞にスポット的に効果がある薬など、
日本での承認がかなり遅れているという事も耳にしたりしますよね。
製薬会社と政府の癒着などについて、常に消費者が目を光らせる
必要性について、この映画からも考えさせられます。

マコノヘイと、医師のイブ役ジェニファー・ガーナーは共にテキサス州出身、
レトも南部出身なのは、偶然でしょうか?  マコノヘイの演技からは
荒くれ者らしいロンの雰囲気がよく出てました。

テアトル梅田 にて鑑賞