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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「大統領の執事の涙」 〜むしろドキュメンタリーが見たくなる〜

映画 た行

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公式サイト:http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・製作:リー・ダニエルズ
脚本:ダニー・ストロング
製作:パメラ・オアス・ウィリアムズ/ローラ・ジスキン
美術:ティム・ガルヴィン
音楽:ロドリーゴ・レアン
撮影:アンドリュー・ダン
編集:ジョー・クロッツ
衣装:ルース・カーター
(2013年 アメリカ製作 132分)
原題:The Butler

※ネタバレ含みます

黒人差別が日常で行われていた時代のアメリカ南部。
幼いセシル・ゲインズは、両親と綿花畑で小作農として働いていた。
しかし、ある事件で親を失い、ハウス・ニガー(家働きの下男)として
雇われる事に。
(公式サイトより転記させていただきました)

黒人初の大統領が存在した2008年、ワシントン・ポストに掲載された
「1950年代から1980年代にかけて8期の大統領のもとに仕えていた
ユージン・アレンという人物」についての記事が、この映画の元と
なったという事。

物語は、セシルの生い立ちから彼がホワイトハウスの執事になる経緯を
描いたパート、その後の執事として過ごした日々(これが一番長い)、
最後に仕事を離れてからの彼を少しだけ描いています。

仕事に誇りを持ち打ち込むというのは素晴らしい事だけど、
個人的には仕事をやめた後のセシルの、精神的な開放感みたいなモノを
想像して、そこに少し共感することができました。

ホワイトハウスの執事という立場では、もし政治に関心を
持っていても、職場でそこに触れてはいけないのは当然のこと。
それでも、同僚のホロウェイや彼の妻などはプライベートな
時間には、そういった話題に大きな関心を持っているようです。

しかし、セシルという人物は政治に無関心で、人種差別問題にも
はっきりとしたビジョンを持っていないように描かれています。
あるいは、仕事のプロとして無意識にそこ抑えつけているようにも
見えます。彼の父親の無念の死を思うと、後者なのかもしれません。
日の名残り」でアンソニー・ホプキンス演じる執事が
主人の言うがままにユダヤ人を解雇するシークエンスを、
ふと思い出しました。

そんなセシルと、「公民権運動」に参加する彼の息子ルイスの間に
意見の食い違いが起きるのは避けようのないところで、久しぶりに
帰宅した息子と父は大きな仲違いをしてしまいます。
この時のキャロル(ルイスの友人)のやさぐれ感は、
どうしたんでしょうね? 最初は良い所のお嬢さん風だったのに、
流行のアフロヘアに露出した服を着て、食事中のゲップまで(笑)

この当たりを境にルイスは、暴力的な思想の政治組織(ブラック
パンサー党)から距離をあける事になります。よかったよかった。

レニー・クラヴィッツが出てきたので、もしやと思ったら、
「プレシャス」(2009年)のリー・ダニエルズ監督だったんですね。
マライアとかオプラとかもプレシャス組ですもんね。

「プレシャス」は映画自体は良かったのに、物語とさほど関連性を感じない
同性愛者の人権に関するセリフに、違和感を感じたのを覚えています。
今回は、そういった唐突な部分はなかったけれど、まるで「公民権運動」に
関する教科書を見せられているような気分に、少しだけなりました。
ここら辺の描き方がストレートすぎるというか、もう少し演出に工夫が
欲しいなぁと、素人考えですが思ってしまいます。

セシルが仕事をリタイアし、個人に立ち返って息子と和解した
シーンには胸が熱くなりました。が最後、セシルがオバマに会う所は、
思いっきりベタすぎて、なんだかなぁ〜と思ってしまったのも事実。

歴代の大統領役は、アイゼンハワーロビン・ウィリアムズ
ケネディジェームズ・マースデン、ジョンソン=リーヴ・シュレイバー
ニクソンジョン・キューザックレーガンアラン・リックマン
ついでにナンシー(レーガン夫人)=ジェーン・フォンダ
豪華メンバーですが、
ジェームズ・マースデンケネディ役、軽すぎませんか?
ジョン・キューザックも、どう転んでもニクソンに見えなかったし。
ニクソンの票を取ろうとする姑息な態度は面白かったけど(笑)

農園のシークエンス、ヴァネッサ・レッドグレーヴが出てくるだけで
映像に求心力が発生します。品格ある存在感とでも言うのか。

残酷な息子役は「マジック・マイク」にも出ていた英国人モデル、
アレックス・ペティファー。美形すぎて個人的に好感がもてない(笑)
彼には、こういう情のかけらもない悪人役が自然と似合うなぁ。

大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞。