読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ミスティック・アイズ」“未体験ゾーンの映画たち 2014”より

映画 ま行

f:id:YURURI:20140217103939j:plain

公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/mysticeyes/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:ディクティナ・フード
製作:サイモン・オンウラ
(2011年 イギリス製作 85分)
原題:Wreckers

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
デイヴィッド(ベネディクト・カンバーバッチ)と
ドーン(クレア・フォイ)の夫妻は、デイヴィッドが子ども時代を
過ごしたに村に引っ越してくる。静かな田舎で子どもをつくって
楽しい家庭を築こうとしていた。
そこへデイヴィッドの弟ニック(ショーン・エヴァンス)が突然あらわれる。
戦地から戻り、心を病んでいたニックの存在が徐々に夫婦の関係を壊して…。
(公式サイトより転記させていただきました)

イギリスの片田舎。運河沿いの道を犬と散歩するドーン。
一見のどかな田舎の風景ですが、冒頭からずっと
不穏な空気がつきまといます。

もちろん、田舎だから平和ってわけでもなくて、
コージー・ミステリーの代表“ミス・マープル”なんかでは
静かな田舎の村で、残酷な殺人が次々と起きたりしますよね。

しかし、この物語では殺人どころか何の犯罪も起こらないのに
終止、重苦しいのです。
もしかしてそれは、物語の中で色んな事が見えて来ないという
こちら側の心のモヤモヤが反映されているのかもしれません。

主人公で教師をしているドーンの目線で物語を見ていたのですが、
途中で彼女が起こした行動に、気持ちが全く寄り添えなくなって、
散漫な気分になってしまいました。いや、男見る目なさ過ぎでしょ。
狭い田舎町での不倫は、イギリスの田舎を舞台にしたミステリーに
何故かよく出てくるんですけど、それってかなり普段の生活で
抑圧されてるという事なんでしょうかね? うーん。

そして、夫のデヴィットはドーンに輪をかけて謎でした。
なぜ、弟が母を突き落としたというウソをついたのか?
鳥小屋に犬を離し、それをわざわざ弟のせいにしたのか?
はたして彼は、弟と妻が一緒にいる時を監視していたのか?
妻のせいで子供ができないと、弟に話したのか?
これらが全て本当だとしたら、想像力をフルに働かせても
なかなか理解しがたい人物ですね。
彼がドーンに執着しているのはなんとなくわかるのですが。

f:id:YURURI:20140217103941j:plain

共感とまではいかないけれど、その心情が理解できたのはニックでした。
家庭の中での虐待や、戦場で受けた心の傷など、ある意味わかりやすい。
三人の中で、一番傷ついていたとしても、一番正直なのは彼だという
印象です。ニックがドーンに見せたオルゴールの音色、とても切なくて
美しいこのメロディが、悲劇的な色合いを映画に添えていました。
f:id:YURURI:20140217103940j:plain

ショーン・エヴァンス(写真左)は「エンデバー」のモースみたいな真面目な
役よりも、むしろ「フローズン・タイム」(2006)みたいなチャラい役が
似合うと、実はこっそり思っています。今回、いかにもワーキングクラスの
ちょっと品のよろしくなさそうな役が、上手くはまってました。

 

この映画、見る側の想像力にかなり委ねられているといった印象です。
普段から、結末をあえてはっきりと描かない映画も好きなのですが、
登場人物の誰にも心寄り添えない、その心情がなかなか想像しがたい
というのは、ちょっと心がザワザワしてしまいます。
全体的には結構好みの映画なんですけどねー。惜しいなぁ。

ところで、邦題「ミスティック・アイズ」とは何のことでしょうね?
ドーンとニックの二人を見つめるデイヴィッドの瞳が“ミスティック”と
いうことなのか? よくわからない。
とはいえ、原題の“Wreckers”(破壊者)もピンときてない私ですが(汗)
破壊者なのは、ニックなのかデイヴィッドなのか、それとも
そもそもの原因を作った彼らの両親なんでしょうか。


シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。