公式サイト:http://rush.gaga.ne.jp/index.html
※音声が出ますのでご注意ください
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
美術:マーク・ディグビー
編集:ダニエル・ハンリー / マイク・ヒル
衣装デザイン: ジュリアン・デイ
音楽:ハンス・ジマー
(2013年 アメリカ 123分)
原題:RUSH
※ネタバレ含みます
【ストーリー】
1976年8月、F1ドイツグランプリ(GP)。スタート直前、二人の男が
視線を交わすージェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)と
ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)。
宿命のライバルの出逢いは6年前に遡る。
(公式サイトより転記させていただきました)
見ごたえのある、よく出来た映画だと思います。
ニキ・ラウダとジェームス・ハントという対照的な人物像、
それぞれの人生が興味深く、また二人の人生が交差する瞬間に
ドラマとしての盛り上がりを感じます。
物語のスリリングな展開や、迫力あるカーチェイスも魅力です。
レースのコースを車体やレーサーの目線で捉えた映像は、
F1にさほど興味のない私でもおおっ!と思いました。
アイルトン・セナの死亡事故(1994年)もショッキングでしたが、
それ以前のF1はもっともっと危険だったようですね。
ニキ・ラウダという人が、レース中に起こした大事故と、
その後復活した事はなんとなく知っていましたが、
この映画を見て、この人の気力というか生命力に驚嘆しました。
実際のニキ・ラウダ(左)とジェームス・ハント 事故の傷跡が痛々しい。
オーストリアの資産家の長男として生まれたラウダは、
レーサーになる事を家族に反対され、勘当の身に。
銀行ローンと借金を繰り返し、その資金でレース活動をしてたという事。
自分を売り込む意欲と才能にも、長けた人だったようです。
(引退してからは航空会社を経営したりして、
現在はメルセデスの非常勤会長ということです)
ニュルブルクリンクでのクラッシュで生命の危機に瀕した、
そのわずか6週間後で復帰したレースでは4位入賞だったというのも驚き。
恐怖心に打ち勝てるメンタル力がすごすぎ!です。
しかも、翌年(1977年)には2度目のチャンピオンを獲得しています。
映画の感想というよりも、ラウダがすごすぎて、彼の事ばかり
語ってしまいました。映画の話に戻りたいと思います。
ニキ・ラウダを演じたのは、マーティン・フリーマン同様
私の中で“いやし系俳優”の一人でもあるダニエル・ブリュールです。
ヘヤ・メイクの助けが大きかったとダニエル自身が言っていましたが、
仕草も含め、過去の写真で見るニキ・ラウダのネズミっぽい感じ(笑)が
よく出てました。
来日時のダニエル・ブリュール(左)とクリス・ヘムズワース
さて、ラウダと対照的なレーサーなのがジェームス・ハントです。
イギリスのアッパー・ミドル・クラス出身のハントは、
反抗的で活発な少年がそのまま大人になったというか
常に刺激を求め、女性関係も含めてなかなか享楽的な
人生を送った人のようです。
ラウダが理論派とすれば、ハントは直情型といった所でしょうか。
演じたクリス・ヘムズワースについてはこれまで、いかにもマッチョな
オーストラリア人という印象しかありませんでしたが、
繊細さと大胆さを持ち合わせたハントの役にはまっていたと思います。
クリス・ヘムズワース(左)と、実際のジェームス・ハント
ただ写真を見る限りは、実際のハントはもう少しソフトで優しく
可愛らしさもあるタイプだったんじゃないかな〜思いますが。女性は男性の
そういう所に弱いですから、彼がモテモテだったのもわかる気がします。
私が一番印象的だったのは1976年、タイトル争いがかかっていた
日本のレースでラウダがリタイヤした経緯です。
このレースを降りるのは、かなり勇気ある決断ですよね。
もちろん、実際の彼の心の内はわかりませんが、
こういった心理描写も良く描けていて、よくありがちな
派手さだけを売り物にした映画ではないなぁと感じます。
TOHOシネマズ なんば にて鑑賞。