ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「トゥ・ザ・ワンダー」 〜もはやストーリーは不要?!〜

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公式サイト:http://www.tothewonder.jp/ 音が出ます!

監督・脚本:テレンス・マリック
プロデユーサー:サラ・グリーン、ニコラス・ゴンダ
プロダクションデザイン:ジャック・フィスク
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
音楽:ハナン・タウンゼント
(2012年 アメリカ製作 112分)
原題:TO THE WONDER

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ニール(ベン・アフレック)とマリーナ(オルガ・キュリレンコ)は
フランスの小島、モンサンミシェルにいた。
故国であるアメリカを離れ、フランスへやって来た作家志望のニール。
彼はそこでマリーナと出会い、恋に落ちる。
10代で結婚し娘のタチアナをもうけたマリーナは、ほどなくして夫に捨てられ、
いまや望みを失いかけていた。
そんな彼女を闇から救ったのがニールだった。
光の中、手をつなぎ、髪に触れ、愛し合うふたり。入り江に浮かぶ修道院を背に、
潮騒を聞きながら、ニールは彼女だけを生涯愛し続けようと心に誓う。
(公式サイトより転記させていただきました)

セリフはあまりなく、音楽とナレーションが壮大な映像に包まれているような映画。
モン・サン・ミッシェルを撮りたかったのでしょうか、などと思うのは
その美しい映像から、“つくりもの”的要素をヒシヒシと感じるからです。

例えば、レイチェル・マクアダムスがバッファローに囲まれている図は、なんだか不自然。
それでもアメリカのパートはフランスのそれに比べると、さほど作り物的ではないと思います。

登場人物の中では、貧困層の住宅街を訪れるハビエル・バルデム(牧師)の
心のユラギに少し共感できました。
牧師の要素が含まれてなかったら、この映画はつまらなかったかも。

登場する女性が、振り向きながらクルクル回るショットがやたら多用されていたのも
気になります。全体的にちょっと過剰すぎるなぁという印象です。

「なぜ愛は憎しみに変わる?なぜ優しい心は冷淡に?」というのは、
この映画だけでなく、これまで多くの作品で描かれてきたテーマだと思うのですが、
そこに“作り物的要素”を感じさせられると、気持ちが乗れなくなってきて
「別に映画で哲学を語らなくてもイイヨ」などと思ってしまうのです。

映像によって、何か心ゆさぶられる体験ができるのが映画の醍醐味だと思いますが、
残念ながら、私はこの映画に対して“関わりを持てた”気持ちにはなれませんでした。
天国の日々」(1978)を思い出させる草原の夕景は奇麗ですが、
あの映画を見た時に感じたような情感は、わいてこなかったのです。

TOHOシネマズ なんば にて鑑賞。