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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

熱波 ー最後に一目、会いたい人ー

TABU

公式サイト:http://www.neppa.net/

監督・脚本・編集:ミゲル・ゴメス
共同脚本:マリアナ・ヒカルド
撮影:ルイ・ポッサス
音楽:ヴァスコ・ピメンテ
衣装:シルビア・グラボウスキ
編集:テルモ・シューロ
製作:サンドロ・アギラール / ルイス・ウルバノ
(2012年 118分 ポルトガル・ドイツ・ブラジル・フランス合作) 
原題:TABU

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
会社を退職したピラール(テレサ・マドゥルガ)は、カトリックの社会活動などに参加しているが、
隣に住む孤独な老人アウロラ(ラウラ・ソヴェラウ)の事が気にかかっていた。
ある日、病に倒れたアウロラからヴェントゥーラという男性に会いたいと依頼されたピラールは
彼を探し出すが。。。。 やがて、彼の口から若き日のアウロラの事が語られる。

独特な雰囲気を醸し出す、不思議な魅力があります。

第一部「楽園の喪失」は現代が舞台で、親切で信心深い女性ピラールが主人公です。
そんな誠実そうな隣人が、実は狂気を内に秘めた危険人物だったら。。。。
なんていうハリウッド・ホラー的展開ではもちろんなく(笑)、
ピラールは周りに気を使いながら、世の中の為に生きようとしています。
本人は気苦労が多そうですけどね。

隣人のアウロラは、お金が手に入るとカジノで使い切ってしまうという破天荒な老婦人。
その使用人サンタ(イザベル・カルドーゾ)は、ピラールの親切にもどこか素っ気ない。
この老婦人と使用人の関係性は、ポルトガル人にとってのかつての楽園、
植民地下のアフリカという特殊な時代の終焉を告げているようにも感じられます。

第二部「楽園」は、若き日のアウロラとヴェントゥーラの物語です。
当時のヴェントゥーラを演じたカルロト・コッタ(CARLOTO COTTA)がゴージャス!
ラテン系の格好良さというか、“スケコマシ”系な色男ぶりが良いです。
この方「ミステリーズ 運命のリスボン」(2011)に出演してはったよう。
(↑4時半という上映時間とメロドラマ的内容というレビューに、鑑賞を見合わせた映画でした)

“メロドラマ”と言えば、この映画もそういう展開ではあるのですが、
作り手の演出の工夫のせいか、安っぽさは感じられないのです。
35mmと16mmのフィルムを使い分けるなど、こだわりを持って撮られたモノクロームの世界は、
失った時代へのノスタルジーのようなものを感じさせる、そんな作品です。

この映画のコピー「最後に一目、会いたい人」、私には存在しません。が、
ちょっと甘美に思えるそんな気持ちを知らなくて、正直、平和で良かったとも思います。
死の直前に過去の記憶が集約されて波のように迫ってくるかもしれない。。。
そんな感覚は、漠然とわかるような気がします。

2010年のポルトガル映画祭、同監督の「私たちの好きな八月」(2008年)が
上映されていたんですね。またどこかで見る機会があれば良いなー。

梅田ガーデンシネマ にて鑑賞。