ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ヒッチコック」 〜映画は一人では作れない〜

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公式サイト:http://www.foxmovies.jp/hitchcock/ 音が出ます!

監督:サーシャ・ガヴァシ
脚本:ジョン・J・マクロクリン
原作:スティーヴン・レベロ
(2012年 アメリカ 99分)
原題:HITCHCOCK

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
その夜、ヒッチコックアンソニー・ホプキンス)は、上機嫌だった。
1959年7月8日、シカゴで開かれたワールド・プレミアで、
新作『北北西に進路を取れ』が大反響を呼んだのだ。
だがヒッチは、「もう60歳、そろそろ引き時では?」という
記者の質問に、たちまち顔を強ばらせる。46作品を世に送り出し、
サスペンスの巨匠と称えられたヒッチだが、引退する気など微塵もなかった。
(公式サイトより転記させていただきました)

アルフレッド・ヒッチコックは、ロンドン出身のイギリス人だったんですね。
小さい頃TVで見た「ヒッチコック劇場」のイメージが強いので、
すっかりアメリカ人だと思い込んでました。

ヒッチコックのバイオグラフィを見てみると、なるほど、私はアメリカ時代の作品しか
見ていない事がわかりました。渡米後初の作品「レベッカ」(1940年)は強く印象に残っていて
これまで見たヒッチコック作品の中では、一番好みです。
とはいえ、この映画は作品に口を出すことで有名なデヴィッド・O・セルズニックが
プロデューサーなので、ヒッチコックのそれよりはセルズニック色が強いのかもしれません。

さて今作品は、ヒッチコック最大のヒット作「サイコ(Psycho)」(1960年)が
製作される過程を描いた物語です。
あの「サイコ」は、なかなか苦労して作られた作品だったという事がわかります。

ラッシュの試写で散々な評価だったモノを、編集で素晴らしい映画に変えていく過程は面白いですね。
有名なシャワーシーンで流れる音楽は、やっぱり怖くて心臓がキュッとなるような感じですが、
最初は効果音無しでいく予定だったなんて意外です。あの音があるのと無いのとでは大違い!ですから。

また、劇中ではヒッチ(彼は回りからそう呼ばれていたようです)と彼の妻アルマの複雑な関係も
描かれています。他の異性と親密な関係を持つパートナーに対して、お互いに嫉妬しているんですから、
結局は愛情があるという事ではないのかなぁ。少なくとも醒めた関係ではなかった様に思います。
そこのところの微妙な心理は、アンソニー・ホプキンスヘレン・ミレンのナイト爵コンビが
圧倒的な演技力で表現してくれてますし。

ここでもやはり、最終的に妻は便りになる存在なのです。
でも私がアルマやったら、脚本家として自分の名前はクレジットして欲しいですね。

ジェームズ・ダーシーアンソニー・パーキンス役(デリケートな感じがナイス!)を、
スカーレット・ヨハンソンジャネット・リーの役という配役も雰囲気出てます。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。