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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「リンカーン」 〜指導者に必要とされること〜

映画 ら行

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公式サイト:http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/ 音が出ます!

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
製作:キャスリーン・ケネディ
製作総指揮:ダニエル・ルピ、ジェフ・スコール、ジョナサン・キング
撮影:ヤヌス・カミンスキー
プロダクション・デザイン:リック・カーター
編集:マイケル・カーン
衣装デザイナー:ジョアンナ・ジョンストン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
原作:ドリス・カーンズ・グッドウィン
(2012年 アメリカ 150分)
原題:LINCOLN

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1865年1月、エイブラハム・リンカーンダニエル・デイ=ルイス)が大統領に再選されて、
2カ月が経っていた。国を二分した南北戦争は4年目に入り、
大勢は大統領が率いる北軍に傾いていたが、
リンカーンにはすぐさま戦争を終結させるつもりはなかった。
奴隷制度に永遠の別れを告げるため、たとえ多くの死者が出ても
合衆国憲法修正第十三条を下院議会で批准する前に戦争を止めるわけにいかなかった。
(公式サイトより転記させていただきました)

ダニエル・デイ=ルイス、やっぱり上手いですね。
この人、昔からなんとなく鼻につくところががあって「好き」とは言い切れないんですが、
俳優としては信頼できるなぁと改めて思いました。

実際のリンカーンもあんな風な穏やかな話し方だったのかしらんと思う位、
リンカーンそのものに見えてきます。ヴィジュアル的に似ているというのも大きな要因かも。

イギリスで奴隷制度廃止法が成立した1833年から30年以上たった後、
アメリカでは1865年に、奴隷解放を意味する合衆国憲法修正第13条の下院可決が
成されたのですね。

「アメイジング・グレイス」では、ウィリアム・ウィルバーフォースが
その思想や主義から奴隷廃止に向かった経緯が描かれていました。
それとは対照的に、この映画ではリンカーンが奴隷解放に向かった要因に
もっと複雑に政治的要因が絡んでいたことが垣間見えます。

面白かったのは、下院での票を集めるために裏で買収したりして根回しする様子。
結局、人を説得するという事が重要なんですよね。
忍耐力をもってそれを確実に行っていけるというのが、
政治家に求められる資質なのかも。
劇中では、リンカーンはやたら逸話を語るのが好きな人物として描かれていました。

そうそう、工作員の一人ビルボ氏が、あのジェームズ・スペイダーだったなんて!
後で公式サイトを見るまで気がつきませんでした。昔は美少年だったのにねぇ。。。。

意外だったのは共和党が黒人奴隷制反対を掲げて結成されたという事です。
現在は民主党がリベラルなイメージなのですが、結成当初の共和党の方が
進歩的だったんですね。

リンカーンといえば“government of the people, by the people, for the people”の
演説が有名ですが、私が劇中でなるほどなぁと感じたのは
妻に言った「自分自身で重荷を軽くしてくしかない」という言葉。
何かと悪妻の代表のように言われてきたリンカーンの妻ですが、
そうとは言い切れない家庭の事情があったのかもしれませんね。
それでも、自分自身の辛い気持ちは周りにぶつけるだけでは解決しない
というのはもっともなことだと思います。

冒頭に映し出された南北戦争の様子、こういうアナログな戦いのほうが
圧倒的に“リアルな殺人”という感じがしますね。
遠隔操作で攻撃する今の戦争は、残酷さを実感できないという意味で
逆に怖さを感じます。

ダニエル・デイ=ルイストミー・リー・ジョーンズを前にしては、
今をときめくジョセフ・ゴードン=ヴィットもなんだか影がうすかったなぁ。
娯楽性もある、なかなか面白い映画でした。

TOHOシネマズなんば にて鑑賞。