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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「天使の分け前」 〜息苦しくないケン・ローチ作品〜

THE ANGELS’

公式サイト:http://tenshi-wakemae.jp/ 音が出ます!

監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
撮影:ロビー・ライアン
(2012年 イギリス/フランス/ベルギー/イタリア 101分)
原題:THE ANGELS’SHARE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
スコッチウイスキーの故郷スコットランド。
育った環境のせいでケンカ沙汰の絶えない若者ロビー(ポール・ブラニガン)は、
恋人レオニー(シヴォーン・ライリー)と生まれてくる赤ん坊のために人生を立て直したいが、
まともな職も家もない。
またもトラブルを起こし、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられたロビーは、
現場の指導者でありウイスキー愛好家であるハリー(ジョン・ヘンショー)と、
3人の仲間たち(ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ)と出会う。
(公式サイトより転記させていただきました)

ウィスキーが樽の中で熟成され毎年少しずつ蒸発して失われる分を
“天使の分け前”と言うのですね。素敵な表現だなー。

しかし、そんな詩的な世界とはほど遠いようなオバカなヤツが、冒頭から登場します。
「神のお告げです」という駅のアナウンス、笑いました。

ケン・ローチのシリアスな作品は実はちょっと苦手なので、
前前作「エリックを探して」と同様に、こういったコメディタッチの作品にはホッとします。

様々な軽犯罪を起こし裁判にかけられている人達が登場します。
許される事じゃないんですが、憎めないというか。。。。
皆の話し方、この語気の強い感じがスコティッシュな英語という感じで
お国柄が出ていて良いですね。ロバート・カーライルの顔が頭に浮かびました。

お金もない、まともな職にもつけない、そんなどん詰まりの若者達の息苦しい感じ、
演じていたポール・ブラニガンは演技経験が全くなかったというのだから、驚きです。

BBC Radio 4のシチュエーションコメディ「Cabin Pressure(キャビン・プレッシャー)」の
副操縦士・ダグラス役のロジャー・アラムさんがウィスキー・コレクター役で出演していて嬉しかった!
やっぱり良い声だわ〜。ここではちょっと悪い大人の役でしたが。

ボランティア現場の指導者ハリーがものすごく良い人で、テイスティングの会に
ロビーだけを誘ったつもりが、なぜかモー達も連れて行くはめになる所も微笑ましい。
ああいった大人の存在が、ロビーのような若者には大きな影響を与えるというのが
理屈じゃなくてスーッと理解できますね。

ただ、あの犯罪が肯定されるような展開には少々複雑な気持ちです。
ロビーの頭の良さと仲間を大切にする気持ちを見ていると、
なんとか幸せになって欲しいという気持ちが湧くのですが。
難しいところですねー。

冒頭に登場した、想像を超える(!)おバカなアルバート(ガリー・メイトランド)や
ライノ(ウィリアム・ルアン)、モー(ジャスミン・リギンズ〉達は、
ロビーとは違って、あのお金を有効に使えるのかもちょっと心配(笑)

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。