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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「メッセンジャー」 〜繊細な演技に、胸うたれる〜

MESSENGER.jpg

公式サイト:http://www.messenger-movie.jp/

監督・脚本:オーレン・ムーヴァーマン
脚本:アレサンドロ・キャモン
製作:マーク・ゴードン、ローレンス・イングリー、ザック・ミラー
(2009年 アメリカ 112分)
原題:THE MESSENGER

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
イラク戦争で負傷し帰国した米国軍兵士ウイル軍曹(ベン・フォスター)に、
新たな任務“ミッション”が伝えられた。上官のトニー大尉(ウディ・ハレルソン)と共に、
戦死した遺族に第一報の訃報を伝えるメッセンジャーへの就任である。
(公式サイトより転記させていただきました)

地味だけど良い映画だと思います。
2009年度の作品なのに、なかなか公開されなかったのは
華やかさに欠けるからなのかなぁ。でも見る事ができて良かった!

メッセンジャーが訃報を伝えるにあたり、守るべきルールは下記のとおり。
・告知は身元確認から24時間以内
・告げる相手は最近親者だけ
・告知の時間は6時から22時
・最近親者には決して触れない

任務についたばかりのウィルは、結構このルールを破ってましたね。
遺族に必要以上の言葉をかけてしまうところも、人間らしいというか。

彼らが訪ねる戦死者達の家庭は決して裕福とは言えず、
生前線で戦い兵士達が、アメリカ社会の中で置かれている境遇が
透けてみえるようです。

最初に登場する、ウィルの幼なじみケリー(ジェナ・マローン)の行動は、
理解はできるけど決して共感できないですね。
自分の心の弱い部分を認めて受け入れているというよりは、
そこから逃げているように思えるから。

逆に、未亡人となったオリヴィア(サマンサ・モートン)は、
割り切れない自分の気持ちに、正直に生きているように見えます。
自分自身の気持ちを把握する努力をしているところに、共感できるのです。
サマンサ・モートンの演技も良いですしね。
彼女といい、スティーヴ・ブシェミといい、
この映画、キャスティングがシブくて良いわ〜。

そして、どこかいっちゃってる役がハマる(笑)ウディ・ハレルソン演じる
ストーン大尉は、割り切って任務を行っているシビアな上官かと思いきや、
夜中にウィルに電話をかけてきたりする、寂しがりやなオヤジでもあるのです。

後半、ウィルが心に抱えている傷を吐露する場面で、
ストーン大尉も感情をあらわにするのですが、
表立ってではなく、ひそかに二人の気持ちが交差するような演出と
彼らの演技には、胸を打つものがあります。

ウィルと大尉との間に少しずつ育まれていく感情、その友情のようなものが、
さりげなく描かれているのにも好感がもてるのです。

先日観た「ジャンゴ」もそうですが、“ブロマンス”とまではいかなくても、
主役とそのパートナーの間に生じる愛情が感じられる作品は、魅力的だなぁ。

「世界で一番兵士を大切にするのはアメリカの軍隊」という
ストーン大尉の言葉が、皮肉ですね。
表立って非難はしていないけど、静かな反戦映画。

テアトル梅田にて鑑賞。